メモリアルパークからマンションに戻り、ベビーベッドにちはるを寝かしつけてる間、ヤマトは当然のように洗い物を片付けたり動き回ってる。
 前は普通にジーンズだのパンツ姿だったのが、由弦の代わりを務めるようになってから、黒いスーツに細い黒のネクタイって恰好をするようになった。
 頭だけ相変わらず金髪のハーフアップ。伸ばしてるのか伸びてるのか、あたしより襟足が長い。

「ヤマト、あとは大丈夫だから。あんたはもう事務所に戻りなさいよー?」

 ソファで取り込んだ洗濯物を畳みながら、洗面所の方でゴソゴソやってるヤマトに声をかけた。
 今日は土曜で水上興業はしっかり稼働日のハズ。壁掛け時計を見れば、午後3時43分。
 まくった袖を下ろしながらリビングに戻って来たヤマトは「ん、そうする」って素直に。

「姉さん。洗濯洗剤と風呂の洗剤切れそう。買って夜にまた来るよ」

「あ、ほんと? ありがと助かる」

「あと、なんかある? ついでだからさ」

「そうねぇ・・・。オムツもミルクも洋秋に頼んだのがまだあるし・・・」

「じゃあ冷蔵庫見てテキトーに買ってくる」

 すっかりウチの子だ。内心でクスリ。


 最後に冷蔵庫を覗いてったヤマトを送り出し、小さく息を吐く。


 ヤマトは由弦がいなくなったのを自分の責任のように感じてた。
 あの夜は、洋秋と由弦の二人で酒の席に召ばれて、ヤマトは同伴してない。
・・・・・・どうしようも無かったことだ。
 何度そう言っても。『オレがついてれば・・・』って悔やみ続けてる。

 行き場のないココロが、遺ったあたしに尽くすことで掬われるなら。気の済むようにさせてあげたいとも思う。

 でもねぇヤマト。
 あんたに自分の人生をそんな風に使って欲しくない。
 あたしと由弦の大事な“弟”だからこそ。
 ヤマトのたったひとつの人生を。縛られずに自由に生きてって欲しい。
 あたし達の願いだからね・・・?



 咎を背負うのは。

 ヤマトじゃない。

 ・・・裁かれるのは。