ウチも新婚旅行はしばらくお預けだね、って話になって。 

「生まれたら子連れで一緒に行くか」
 
 洋秋が家族旅行を提案する。
 かなり賑やかなコトにはなりそうだけど、とお互い助け合えるし。イイかも!
 みんな賛成した。
 
「男の子と女の子だったら将来、子供同士で結婚してくれてもいいなぁ」

 ふとあたしが口にした思い付きに。
 それなら許すって父親2人の即答。・・・どっちも女の子なら、こりゃタイヘンだ。 


 
 



 お互いに妊婦ってコトで早々にお開きになり、戻ったあたし達はお風呂も済ませ、のんびりリビングのソファで寛いでた。

「なあ瑠衣」

「んー?」

 鈴奈さんが貸してくれた妊婦向けの情報雑誌をさっそく読んでると、少しして隣りの由弦が話しかけてきた。
 明日の朝ゴハンでも気になったのかと、ちょっと上の空で返事。

「・・・子供の名前、俺が決めてもいいか?」

 はい?
 ものすごい想定外のトコから飛んで来たボールに面食らい、顔を上げて思わず由弦を二度見する。
 驚いたって言うより、不意打ちされたって気分。由弦は自分のことは自分で決めるヤツだけど、二人に関係するコトで自分一人の意見を押し通したりはしない。
 あたしは、開いたページをそのままで裏返した雑誌をテーブルの上に置いた。それから躰を由弦の方に傾け、ちゃんと目を見る。落ち着いた静かな色。揺らぎがない。意思は固まってるってそんな目だった。

「もしかして付けたい名前があんの?」

 視線を外さずあたしがやんわり問うと、由弦はほっとしたように口の端を緩めた。