「子供がデキてなかったら考えるか。15日頃だろ、分かんの」
 
 妻の健康チェックも抜かりなく。良く出来たダンナサマです。
 
「まあだいたい」

 食事中の話題にはちょっとナンだけど、7日辺りを過ぎても来るものが来なかったら可能性大。早すぎても検査薬の反応って出ないし。  

「瑠衣」

 ポテトサラダに手を伸ばしながら由弦が少し真顔になった。

「今の仕事はもう辞めとけよ。お前と子供食わせてくぐらいの稼ぎはあるんだからな」


 今どきは頭を使って色んなコトしないと、ヤクザも生き残れない時代。
 由弦が何をどうやってお金を稼いでるのか、あたしは知らない。危ないことはして欲しくないし、外道なマネもして欲しくない。・・・キレイごとだけど。
 それでも。極道(そのみち)しか知らない男が身を削って与えてくれるものなら。あたしは黙って感謝して、笑顔で受け取るだけ。
 
「共働きなら、もっと近くでパートでもいいかなとは思ってたんだ。休み明けに社長に話してみる」

 小さく笑ってそう答えると。
 由弦は安堵したように目を細めた。


 『同い年の幼馴染』はすっかり過去形で。
 しっかり者で『最強最愛の夫』に急成長するんだもん。
 それはそれで、すっごい男前に見えて! ・・・心臓がうるさい。