夕方6時からのパーティ開始に向けて、あたしと鈴奈さんはウチのお母さんの車で先にバーに向かい、洋秋と由弦は事務所に寄ってからまた来ることになってた。



 あたしとしては。身内の忘年会レベルで考えてたハズが。
 お母さんはフラワーアレンジメントデザイナーの仕事人魂で、ブーケだけじゃなくテーブルフラワーにも本格的に気合い入れてるし。元ホストのヤマトはシャンパンタワー作ってるし。
 カウンターにはお酒が並び、ヤマトの友達のバーテンダー君がスタンバってるわ、オトナのお祭りみたいになってない?

 料理なんてそれこそ多国籍で。洋秋と由弦への結婚祝いだって、顔見知りのお店がみんな差し入れてくれたそう。
 タンドリーチキンやタコスもあれば、ゴマ団子に桃饅頭、色んな種類のチヂミが並んでたり、唐揚げと焼き鳥の串がてんこ盛りだったり。
 水上組は愛されてるなぁって。なんだかすごく誇らしい。
 もちろん洋秋と由弦の二本柱がしっかりしてるお陰だけど、今回のMVPは間違いなくヤマトに決定かな。
 

 
 奥の控室で鈴奈さんとあたしは,今はまだアシスタントとして修業中の美容師の卵ちゃんにメイクとヘアアレンジをお願いし。 
 ナチュラルだけど華やかな出来栄えに、二人して褒め合って笑い合う。
 
「洋秋、泣くかもね」

「どっちもじゃない?」

 お母さんにも手伝ってもらいながら、由弦達にはどんなのを選んだかは内緒のドレスを着て。最後にブーケを手に。
 白バラと黄バラの清楚な雰囲気のブーケは鈴奈さん。薄いピンクと白の甘い雰囲気の方があたし。

「二人ともすっごく綺麗よー! さすが、わたしの娘達」

 目を潤ませたお母さんが満面の笑顔で何度も頷いてる。
 まるで本物の結婚式を前にした花嫁みたいで。ちょっとドキドキするような。照れくさいような、・・・待ち遠しいような。