由弦も鈴奈さんも。自分が選んだものの為に育んでくれた家族を手放した。
 後悔はなくたって、何もかも割り切れてなんかいやしない。

 その痛みが少ない分、あたしと洋秋は。由弦達の手からこぼれ落ちたモノ以上の愛情を注いで、与えて、満たして。
 誰よりも愛しんでシアワセにしたいって強く思うんだ。

 
 いつか。由弦の両親にも、孫の顔を見せに行きたいよ。
 俯いたままのお義母さんの細い後ろ姿を思い出して。
 素直に願った。
 
 


「・・・・・・由弦」

 素肌の胸元に顔を埋める。 
 「どうした」って、案外たくましい腕にぐっと抱き寄せられる。

「・・・死んでも一緒だからね」

 おじいちゃんとおばあちゃんになって、死ぬ時は別れ別れだろうけど。
 天国、・・・は無理そうかな。一緒に手ぇ繋いで仲良く地獄巡りツアーしよーね。
 あたしはひとり小さく笑みを乗せた。
 
「当たり前だ。先に逝ってもすぐ迎えに来てやるからな。・・・浮気すんなよ、ドアホ」


 優しい声が頭の上で聴こえ。 
 あとはクリスマスまで全力疾走だなぁって。
 頭の中であれやこれを考えてるうちに、吸い込まれるように眠りに引き込まれた。

 
 そのままホテルで泊まりになって。朝起きて、さすがに帰るだろうと思ったのに。未だにベッドから離してもらえない。

「・・・ゆづ、・・・もっ、やめっ・・・」

「俺は全然、足らねぇよ」
 
 妖しい声で、低く甘く耳元に囁かれる。


 ・・・あんた、ゼッタイなんか変なスイッチ入っちゃってるー(泣)。