他の女と来たトコ連れて来るとか、デリカシー無さすぎでしょーよ!
 文句の一つも言ってやりたかったのに。
 由弦は脇目も振らずにあたしの手を引き、ダウンライトの仄明るい部屋に入るなり。脱いだ上着を紅いソファに投げて、コートも着たままのあたしをベッドに押し倒して覆い被さった。
 
「ちょ」

 っと待って。途中で口が塞がれて言えなくなる。
 両手で頬を掴まえられ、角度を変えては無尽蔵に口の中を貪られる。

「・・・舌出せ」

 低い命令。もう好きにして。
 キスって言うよりまるで。

「瑠衣」

 切なそうにあたしの名前を繰り返し呼ぶ。こんなに余裕がない由弦は初めてだった。
 服を脱ぎ散らかし。シャワーも浴びずに広いベッドの上でひたすら求められて、応えて。

『愛してる』 

 あたしが由弦の下で声を上げる度にそう聴こえた。
 
 俺のすべてを受け取れ。・・・そう言われてる気がした。



 何度目かに果てた由弦があたしを抱えたまま息を吐くように呟く。

「・・・・・・ありがとな。瑠衣」

 別にお礼を言われるようなコトはしてないよ。
 あんたの奥さんとして出来るコトをしたかっただけ。
 ココロの中で、小さく笑みをほころばせた。
 
 気怠い微睡みがひどくシアワセな気分で。

「・・・愛してるからね、由弦」

 あたしが言ったら。
 俺には負けるけどなって。
 嬉しそうに笑ったのがちょっと可愛かった。

 ううん。すごく。愛おしかった。