それからも話がどんどん広がってって。合同で、式ってワケでもないけどどっか貸し切ってささやかなお祝い会でもやろうかって。
 レンタルで衣装も借りて、ケーキの入刀の真似ゴトくらいやってそれっぽく。
 
 言い出したのは洋秋だけど。直感で思った。鈴奈さんにドレスを着させてあげたいんだ・・・って。
 きっと籍を入れるだけでいいって言ったのは鈴奈さん。クリスマスと同じ日にすれば、一緒にケーキ食べるくらいのちょっとした記念日になるから。
 式をしようにも家族も友達も誰も呼べない彼女の悲しい気兼ねを、洋秋はどうにかしてやりたいって。心を痛めてたのかも知れない。

 だからあたしは。日数的には無謀としか言いようがないのも承知で、話に乗った。
 まずは、あたしと由弦のお互いの家族への挨拶と結婚の了承取って。あれこれ悩んでるヒマもないなぁ。
 ・・・・・・あれだ、料理の練習のほうは追い追いってコトで。 

「なんだか瑠衣ちゃん達を巻き込んだみたいに、なってない?」

 鈴奈さんが、思いもしてなかった展開に申し訳なさげに。
 それをあたしが「ぜんぜん!」と笑い飛ばす。

「こういうのって勢いってゆーし、気が変わらない内にさくっと済ませちゃうのが一番だよ」

「・・・気が変わるのかよ」

 由弦の眼がすんごい冷たい。・・・やだな、言葉のあやだってば!