「瑠衣ちゃん達が来てくれたら、あたしもすっごく嬉しいな」

 鈴奈さんも優しい笑顔をこっちに向ける。
 
 由弦と二人暮らしするのは両親もおばあちゃんも反対しないと思う。まして洋秋と同じマンションなら尚更。

 水上興業は小さい組とは言え極道者には違いないから。何かで狙われる危険性もゼロじゃない。傍にいれば助け合えるし守れもする。
 あたしは頭の中で足し算引き算して答えを弾き出すと、由弦に確かめないで即決してた。

「いいよ。そうする」

 その後で当人に。

「ね。由弦?」

 由弦は一瞬、目を見張って。でも「・・・ああ」としっかり頷き返してくれる。
 
「なら明日にでも管理会社に話を通してやるから、瑠衣の連絡先、教えていいな?」

「うん。仕事中は出れないけど、着信入れてくれたら折り返すよ」
 
 洋秋の言葉に笑んで見せた。

 
 あたしと由弦の目の前には、結婚て書かれた大っきな扉が待ち構えててね。それを二人で開くだけ。
 ちゃんと想いを通じ合わせたのはほんの昨日だけど。『俺にしとけ』ってプロポーズなら、十数年前にもう貰ってたから。
 足踏みする必要ないし待たせたくない。1分でも1秒でも。
 
「瑠衣ちゃん、早く引っ越しておいでー」

 鈴奈さん、ほんとに嬉しそう。
 言わないけど寂しかったよね。自分の家族とは遠くなっちゃって。 
 これからはいつでも行き来できて、もっと姉妹みたいになるね。
 あたしもココロが浮き立って笑顔をほころばせた。
 
「ついでに俺達と一緒に来月、籍入れたらどうだ?」 

 洋秋が思い付いたように言ったのを由弦がちょっと考えこむ仕草。
 え?、・・・まさか本気?!

「それもいいなぁ。出来たらウチの子と同級生にして欲しいしーっ。由弦クン、がんばってくれない?」

 鈴奈さんの発言に思いきりむせそーになったあたし。
 不敵な笑みを浮かべてこっちを見やる、由弦。

「余裕だな、その辺は」


 ・・・・・・えぇえぇ、そーでしょーとも! 来月、来るものが来ない確率なら200%でしょうよっ。確信犯め・・・!