ピり辛ナムル風のもやし炒めとか、鶏の竜田揚げの甘酢あんかけとか。お土産で渡した佃煮や,色んな味のカマボコなんかもテーブルの上に並んで。・・・お赤飯まで用意されてたらどうツッコもうかと思ってた。

 鈴奈さんが妊婦だしってコトで、ノンアルビールで乾杯。

「由弦と瑠衣のめでたい記念日に」
 
 洋秋にしたり顔で言われて、思わず顔から火が出そうに恥ずかしくなる。

「はい、乾ぱーいっ」

 鈴奈さんまで楽しそう。 
 男二人は一気にグラス空けて爽快なカオしてるし。
 あーもう、あたしもヤケだ!
 照れくささを隠すようにオトナ味の炭酸を、喉に流し込んだ。


「由弦クン、このナスの酢味噌和え美味しい!」

「それ、隠し味にソース入れるのがコツ。今度やってみなよ」 

「へぇ、そうなんだぁ」

 由弦にとっても鈴奈さんはお姉さんみたいなものだ。あたし以外でフランクに話すのも彼女ぐらいだと思う。・・・夜の店で、キレイなおねーさんにどう甘ったれてるかは、知らないですケド?
 

「なぁ瑠衣」 

 テーブル向かいから洋秋が視線を傾げてきた。

「お前達どうせ一緒に住むんだろ?」

 唐突に言われて、洋秋の隣りでイワシのマリネに箸を伸ばしてた由弦と目を見合わせる。
 すると洋秋は口角を上げて少し意味深に笑んだ。

「・・・いや。このマンションまだ空きがあってな。階は違うが、二人で越して来ないか?」