「瑠衣」

 こっちに来いって言われておずおずと立ち上がり、座卓を回って由弦の隣りにすとんと腰を下ろす。
 腰を抱き寄せられて、そのままキスが繋がって。しばらく好きにされてから、ぎゅっと胸元に抱き竦められた。

「俺が、緊張してねぇとでも思ってんのかよ・・・」

 頭の上で聴こえた。

「・・・好きで好きでどうしようもない女だぞ。・・・お前につまんねーって思われたら、死ぬしかねーだろが」

 切なそうな声に吐息が雑じって。
 ・・・・・・驚いてた。
 由弦なら女慣れしてて、どうってコトないんだろうってずっと思ってたから。
 そっか。・・・そうだね。お互い、“初めて”同士には違いないんだもんね。

 躰から力が少し抜けて。あたしは由弦の背中に腕を回しながら、そっと。

「・・・・・・大丈夫。・・・初めてで、そんな余裕ゼッタイ無いから」

 多分知ってるだろうけど、一応あたしからカミングアウトしてみる。

「だから余計にプレッシャーかかってんだよ。・・・バーカ」

 苦そうに笑った気配がした。




 それから二人で、部屋の外に付いてる露天風呂に。
 隠しても意味ないって。・・・生まれて初めて、成人男子の肉体を丸ごと目にしました。そして由弦にも余すとこなく全部見られました。

 こうやって人ってオトナになるんだね・・・・・・。鈴奈ねえさん。