「じゃあ、また明日。おやすみ姉さん」

 ヤマトは卒なくあたしをハグすると、甘い笑顔で帰ってった。
 寂しがりのコドモなのか、爪を隠したオトナなのか。困り笑いがほころぶ。


 出逢えるから。あんたも最愛の人に。
 家族以上の絆で。あたしが洋秋より由弦を愛せたみたいに。

 経験者が言うんだから信じなさい?
 








 
 寝室を覗きに行くと、お姫様はスヤスヤ眠ってた。
 オーガニックコットンの小さな布団を掛け直してあげながら。 

 あのね、ちはる。
 ナイショ話。

 今日ね。由弦が逢いにきてくれたんだよ。
 瑠衣って呼んでくれた。
 愛してるって・・・抱き締めてくれた。

 もう二度と逢えないって、ずっと泣いてばっかりだったね。 
 なんで気が付かなかったんだろうね。
 由弦はいつでも、あたしとちはるの傍にいるよ。
 空気みたいに風みたいに。いつだって優しくちはるを包んでくれてる。

 
 起こさないよう、そっと。愛娘の頬を指でなぞる。・・・ぷにぷに。
 一人笑い。


 ちはるは憶えてないかなぁ。
 お腹にいる時から、ちはるを呼んでたんだよ。
 いつか。呼ぶ声が聴こえたら。・・・それはね。