あんなに大好きだったのに
「踊りたくない」
そう言ってしまった

大好きだったものが自分の目の前で曇った瞬間だった

でも怖かったんだ
踊ることも、ダンスに関係するものに触れることも、ダンスを連想する事さえも

それでも嫌いになれなくてそれが余計に苦しかった

だからその時期に冬休みが来たのは幸いだった

壊れた感情はそのままだったけど部屋に引きこもって誰にも会わない生活は気がすむまでどん底に落ちることを許してくれた

それでも家族だけにはバレないように笑顔を貼り付けた

たまに出かけたりもした

ダンスと全く関係のない場所に

残りの時間はひたすらバイトで考えないようにした

それでも何処か心の端に冬休みが終わったら1年の集大成、進級公演がある事引っかかって憂鬱な気持ちは晴れなかった

結局私は冬休みの間1度も踊らなかった

それが今度は罪悪感となってのしかかる

今までの人生で約半月という時間の間に1度も踊らなかったことはなかった

このまま辞めてしまおうかとも考えた
そう思った時ショックだった

私は今何を考えたのだろう、と
それが胸が焼き切れそうなくらい苦しかった
逃げることを考えた自分が情けなかった