「お隣さん新しく入ってきたみたいでさー、バームクーヘン貰った」
「おっ、いいな！ココアある？」
「あるわけないじゃん。」
「ヘーヘー、お前は女のくせに甘いのダメだもんなー」
オーダーメイドのスーツを脱ぎ、ソファの背もたれにかけると、ドカッとソファに座る豪。
袖のボタンを外しながら、ワックスで整えられた前髪をワシャワシャと崩す。
御門豪（ みかど ごう ）25。
あたしの従兄。
気が向くと、あたしの家に来る。
「俺が居た方が寂しくないだろ？」なんて言って、来るんだけど、豪は自由奔放でマイペースだから来ると来るでなかなか大変。
だって、
「はいバームクーヘン」
ソファーの前のローテーブルにバームクーヘンを出すと、
「、、、」
「寝てるんかーい」
寝たくはないらしいんだけど、あたしの家に来ると眠気が襲うらしい。
