冷たい地面に倒れ込み、意識が朦朧とし始めた。
ああ、
雨のにおい
お母さん、お父さん、ね、え
「お、い。……どうした!!!」
頭と背中が持ち上げられ、怒鳴られる。
誰だろう。
酸素が足りなくて、視界が霞む。
苦しいよ。
グイッと持ち上げられ、おんぶの状態で移動させられる。
鍵の場所を聞かれるけど、答えられる状況にない。
微かに唇を動かして、カバンと口パクで答えた。
エレベーターの中でカバンを片手で漁る。
そろそろ、気を失いそう。
ああ申し訳ないなぁ。
マンションの人だよね。
豪にしては、焦りすぎかな。
五十嵐?いや、ないか。
フッと意識を手放した。