雨のにおい








制服から私服に着替え、近くのスーパーに歩く。


デニムのスリットの少し入ったタイトスカートに、デカめの白T。黒のスポーツサンダル。



今日はとてつもなく、八宝菜を食べたい気分。
人参はあるし、素を買って、そのほかの具材を買う。



ミネラルウォーターを箱買いしたから、結構な荷物。




店を出て、マンションに歩く。


途中で、豪を見つけた。



けど、なんか、女の人と話してるから、話しかけるのをやめて、また歩き出した。



4月の後半、まあそこそこ夕方になると暗い。


豪はあたしに気付かないだろう。


気付かないでくれ。





なんて思うのは、相手の女の人、豪を見ながらハート飛んでる。



そんな中話しかけてくれちゃったら、一溜りもない。




「ん?時雨?」




はい、終わったー。




「あー、豪。お疲れ」



そう言った瞬間に、女の人からの視線が痛くなる。



赤のタイトスカートに白のブラウス。会社ぐるみの人っぽいな。




「お前、そんなに買い物すんなら連絡しろよ」




こんな時まで、心配性だな!!




「思いつきで買ってしまった。」



「今日夕飯なに」



「え、来んの?」



「は?嫌なの?」



「八宝菜独り占めする予定だったんだけど」



「はーい行きます決定腹減った帰ろう」