雨のにおい







「柊」



柚姫とじゃれていたら、誰かに呼ばれた。



「滝田先輩」




「良かったら、一緒に帰んない?」




教室の入口で、ポケットに手を突っ込み、右肩を壁にもたらせて、足を自然をクロスさせている滝田先輩は、まさにイケメンってやつなんだと思う。


豪で、目がおかしくなってるから、どっからかイケメンなのか時々分からなくなる。




それにしても、クラスメイト達がうるさい。


滝田先輩は結構人気者らしい。

女にも男にも。



人望ありそうな人だもんな。




「いいですよ」




あたしは席を立ち、帰りの準備をする。




「柚姫は悠真クンと帰るんだよね?」



「あ、う、うん」



「ん。じゃー安全だね。じゃあね」




あたしは、滝田先輩の元に行き、困惑した。




「あー、えっと。俺ら別に付き合ってるわけじゃないし、柊に気ィ遣わせたらヤだなって思って、ごめん、コイツも」




滝田先輩の後ろには、廊下の壁に背をもたらせてる、五十嵐織人がいた。



うわー、こんなイケメン二人と帰るの?あたし。


明日女の子に刺されない?あたし。



織人も、あたしを見ると眉間に皺を寄せた。