雨のにおい






体育館に行く時に使う渡り廊下まで歩き、そこで先輩は立ち止まった。



「ごめん急に」



先輩は緊張してるみたいで、それがすごく伝わってくる。


身長は180弱ぐらいかな。

単発の黒髪から、運動部感がする。



「俺、2-2の滝田快斗(たきたかいと)って言って、陸部なんだけど、知ってたり、する?」



「ごめんなさい。知らなかったです」



全然存じ上げない。
ごめんなさい。




「そー、だよね。あの、俺、放課後部活早めに終わって、学校に忘れ物して校内歩いてた時に、柊が教室で寝てて、綺麗だなって。ごめん、気持ち悪いかもしれないけど、一目惚れした。」



頬を赤らめながら、真っ直ぐあたしを見る先輩。


うん、カッコいい。
男らしいね。



「俺のこと知らないのに、付き合ってくれってのも、おかしい、だろ?だから、友達になって欲しいな、と。」



あたしの顔色を伺う先輩。



思わず、



「ふふ」



笑ってしまった。



「えっ、俺なんか変な事言った!?」



いい人オーラがダダ漏れだな、この人。