雨のにおい






小さい頃から豪に遊んでもらってて、小中と引きこもってた時期もあったから、柚姫みたいな友達は何年ぶりかなって感じ。




柚姫の中学校の時からの幼馴染で、彼氏の悠真クンは、他校の男子校に通ってる。


ラブラブで幸せそう。


幸せそうな柚姫はとっても可愛くて好き。


「柊さん」


だから、話の途中で他の人に話しかけられるのは、気分のいいものじゃない。



声をかけられた方を見ると、クラスメイトの女の子が、悪そうにあたしを見ていた。




「あの、呼ばれてます」




目線を教室の入口に向けた女の子。
あたしもそっちを見ると、黒髪の爽やかそうな男の子が立っていた。



「はい。柚姫、ごめんちょっと行ってくる」




「はーい!いってら!」




嫌な顔せずに送り出してくれる柚姫。


後ろ髪を引かれながらも、その男の子に声をかける。



「どうしました?」



「あー、の。話したいことがあって。ちょっと場所変えて話させてもらってもいいかな?」




うちの指定の上履きは、サンダル。


サンダルの色を見ると赤で、あたしの1個上、つまり2年生だった。




「はい。いいですよ」