「時雨ー、寝るぞー」




あたしは、歯磨きを終えて、口元をタオルで吹き、寝室に向かう。




キングサイズのベッドに、豪は先に入って、片足は伸ばし、片足は折り曲げてiPadを見つめていた。




仕事のチェックだろう。



あたしは隣に入り、豪の方を向いて寝る。




「おやすみ」



豪の言葉にあたしもおやすみ、と返す。




薄目で豪を見ると真剣な表情でiPadを見てる。




小声で



「ありがとう」



と呟くと、iPadを乱暴にベッドの近くのテーブルに置き、忙しなくベッドに寝転んだ豪は、あたしをギュッと抱き締めた。




何も言わずにただ抱き締めて、あたしの首元に顔を埋めた。




さすがのあたしでも、お?と思ったけど、次の瞬間には、



「、、、スー」



寝息を立ててらっしゃったので、あたしも大人しく寝た。