放課後、玄関を出るとなにやら校門の前に小さな人だかりができていた。

その中心にいたのは、やはり、私の彼氏で、大学生の三条瑠依(さんじょうるい)。

女子に囲まれている瑠依は私に気づかない。
だから、そのまま通り過ぎようと思った。



「あ、紗綾(さあや)!どこ行くの!」



校門を出てすぐの角を曲がろうとする私に気づいたのか、瑠依は女子の輪を抜け出し走って、こちらへ来た。



「待ってたよ、紗綾!」


「乗らない。」


「いいから、早く乗って」と私を車に乗るよう瑠依は促す。


イケメンでハーフの瑠依くんが囲まれることくらい、しょうがないと頭ではわかっている。けどなんだかいらついた。



「え?何で?僕何かした?今日は2人でデートでしょ?」



まわりの女子を気にしない瑠依くんは私を半ば強引に車にのせた。


きっと、外にいた女子は「何あの子、だれ」とか言っているだろう。



「ねぇ、紗綾、もしかして、妬いてるの?」


「なっ…!」


「僕、紗綾来てたの知ってたよ、どんな反応するかなって。僕は妬いてくれて嬉しいよ?」


「もうっ!バカ!」



何年かはカナダに住んでいた瑠依の言葉は直球すぎてたびたび恥ずかしくなる。



「ヤキモチやくのは紗綾だけじゃないからね?紗綾が男と玄関で話してたのみたよ」


「え、あれは、ただの男友達で私はもちろん瑠依が一番だよ?」


「知ってるよ」



そう言った瑠依は紗綾の口をふさいでから耳元に甘く低い声で囁いた。



「俺が妬いたら紗綾も嬉しい?でも紗綾は誰にも渡さないよ。紗綾を世界でいちばん愛してるのは俺だからね」