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「で?」
「で?ってなに?ジゼ?」

学園も慣れて半年。

やっと、クラスにも慣れて
たまーに 隣のクラスのソフィア先輩と話す。
いやぁ、ソフィア先輩、マジ半端なく『魔法陣』の言葉。
漢字が書けるんだぜ。
さすが年の功、って言ったら ガチで 腕をはたかれた。
すいません。女子には禁句でした。
でも、漢検準一級のレベルらしい。
そりゃ、先輩って呼ぶでしょ。


「…学園に入って半年ですが
 学業でお困りのこととか、友人関係とか・・・」

「あぁ、毎日 楽しいよ。
 すっげぇ面白い奴がいてさぁ、 
  っと、言葉が崩れるのが難点だな。
 リィアに聞かれたら マナーの時間を増やされてしまう。」

肩をすくめる。

「というか、ジゼ。
 ラディ君から報告とか受けてないのか?」

部下だろう?と言いたげに
ジゼを見つめる。相変わらず冷い視線がちらり、と合う。

「・・・ラディ・・・??
 あぁ。ラディゴール様はモントレー公爵家の子息でしたよね。
 彼が一応「従者」でしたね。うっかり忘れてました。私としたことが。
 従者としての 役目はできないでしょうが、邪魔でしたら排除しますが。」

「こわっ。怖いよジゼ。
 なんだ・・・『攻撃魔法』も『魔力数値』も高いからジゼが手配した
 俺の見張りとかかと・・・」

「ふ。いいえ。モンレ宰相が
 ラディゴール様の泣き落としにあって、無理やり ねじ込んだんでしょう。
 「従者」という役割があれば 多少のクラスの融通と 
 授業の選択や 研究班などのときに 一緒に行動できますので。」

「な、泣き落とし?」

「・・・自覚がないので? 
 ラディゴール様は フランチェスコ王子を
 こんなに崇拝していらっしゃるのに。」

え?なんで?
ラディ君 どっか おかしくない??

てか、俺のどこに『崇拝』するまでの魅力があるの?
むしろ教えてほしいわ~

顔か?!この張り付いた見本のような「王子様スマイル」か?

え?ラディ君そっち系?

「・・・。別に 恋愛的な感情ではないと思いますよ。
 ただ、あなたに『憧れて』いるだけでは?

 そんなことより、こちらの報告書なんですが・・・」

え?そんなことより、で 片付いちゃったよ。
まぁ いいか。

「って、この報告書・・・なに?」
「あなたの 婚約者の発表についてですが?」

なんでだよ!