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「ふわぁああぁぁ。」
「あ、のっ。王子、その 欠伸はおやめください。
 その、口を隠すとか 物陰で、とか。」

「んーわかった。」

そういいながら
どさどさっと 教科書を机の上にばらまく。
そして、ラディ君が椅子を引いてくれて
俺がどかっと座る。

「あのさ、俺・・っと 僕は自分で椅子を引けるよ?」

ラディ君はあわてたように「す、すいませんっ」とあわてる。
いや、別に怒っているわけじゃぁ・・・。

俺は 無事に入学した。
ルアーニル国立 魔法学園へ。

俺は無事、クラスAになった。
ジゼは優秀な「従者」を選んできた。
セリィローズの従弟のラディ君だ。
どこか頼りなさげに笑う、アーモンド色の優男。って感じだな。

ってかさ、仮にも侯爵家の坊ちゃんなんだろ?
従者・・・では ダメじゃないのか?
従者はどちらかというと俺の『お世話係』だろ?

こいつの身分的には、俺とともに歩む「側近」だな。

でもまぁ、俺、これ以上 側近とかいらねーしなぁ・・・。
側近はどちらかというと、一緒に公務をする秘書?っていうの?
まぁ、俺が逃げ出したら(逃げる予定あり)
真っ先に 無職になるじゃん!

やべーって。
ジゼは、優秀で王宮でも別の仕事についてるからいいけどさ。
ラディ君はどうなの?



入園も一週間すると
クラスメートもどことなく なじんできている。
最初は『第二王子』として ちょっと距離があいていた学友も、
ラディ君がいるからか、
どことなく、自然に俺にも接してくれる。
その点は感謝だなぁ。

てかさぁ、同じクラスに「王子様」って・・・どーよ?

「・・・・はぁ。
 さぼりたい。」

「フランチェスコ様?」

「あー、ラディ君。フランって呼べってば。
 てか、「従者」とかもう別にいいからさぁ、
 友達に、なりゃあ良いじゃん。ダメのか?」

てか、ラディ君公爵子息じゃん?
お世話 されるのには慣れているけど
お世話するには 全然慣れてないじゃん。

まぁ、ある程度自分で出来るから
良いんだけどさ。
「従者」としては、失格じゃん?
そんな役職よりも、『友達』のほうがいいんじゃない?


「も、申し訳、ありませんっ。ふ、フラン様。」

はいはい。ダメなのね?

あー、もう、それでいいや。
「王子様」の身分が邪魔するんだよな。
友達100人無理だろうな。