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フランチェスコ王子も成長なさった。
もう少しで「学園」に入る時期だ。

このころになると、
フランチェスコ王子が『秀才』だという認識が広まったのか
担ぎ上げて、王座にという バカどもが多くなって
対応が大変だ。

そーゆー 謀は 黙って 裏から手を回せよな。
できねぇなら そーゆー野望を持つんじゃねぇ。

正式な『婚約者候補』も後を絶たない。
第一候補である「セリィローズ」様はもちろん、
国内の有力な貴族はもちろん、隣国の公爵家からも・・・
それらすべてを
フランチェスコ王子は断っている。

にこやかなあの 笑顔で はっきりと断っている。

フランチェスコ王子って 割とノリで決めたり
まー、どうでもいいかなー?なんて 固く考えないのに
婚約者の件だけは 誰にも決めないよな。

誰か好きな人でもいるのか?と聞いたら、
「ははは。ジゼ。
 僕は第二王子だけど・・・ただの「フラン」になったら
 何が残る?婚約者なんて、相手を傷つけるだけだ。」
と、にっこりと あの 王子様スマイルで微笑んだ。

誠実なのか、自分の立場を理解してるのか、
それとも、ただのバカなのか・・・ 


あぁ、それと「従者」や「側近」の希望も後を絶たない。

オレが フランチェスコ王子と年齢が離れているからだろう。
学園にはぜひ、うちの子を・・・みたいな子息たちだな。

てか、オレ 学園に行ってもいいんだけどさ
宰相からも「もう一人、側近か従者を選出しろ」って言われてるしなぁ。
オレの仕事量が半端なく多いからか?



十数枚の 良家ご子息の プロフィールをぱらぱらとめくる。

本日開催された 王妃様の『お茶会』に参加された方々だ。

一応、どちらのご子息を選んでも
「光の魔力」を持っているフランチェスコ王子と 魔力の点で不都合はない。

今日の、お茶会でも
何人かと 話を交えていたというから
一応、王子にも 誰か気の合いそうなやつがいないか声をかけてみるか。

そんなことを思っていると
コンコン

軽くノックが響いた。

「はい。」
「恐れ入ります。ジゼディシアロー様。
 フランチェスコ王子が、 暇なら 来てほしいと。」

ん?
こんな夜にか?
珍しいな。