アレク兄様は楽しそうに笑う。

「おもしろいよね。
 漂う空気感も、発言もフランにちょっと似てるんだ。
 興味が出てきたよ。手紙を出そうかと思って。」
「・・・アレク兄様。
 チェルシィ様が、悲しみますよ。浮気?って。」

苦笑する。
婚約者以外に 親密に文を渡しちゃぁダメだろ。

アレク兄様は気にした様子もなく、大丈夫だといってニコリと笑う。
黒い髪がさらりと揺れる。

まぁ でも 俺も興味があるのは確かだ。
なぜ、読めるんだ?
俺と同じ、何かしらの『記憶』があるのか?
しかも、鳩を 黒い鳩から白い鳩がいい・・・なんて
俺と同じ発想・・・面白いな。

「あ、俺から 出す?手紙?」
「いいけど・・・お前からだと、「ついに第二王子が好きな人を!!」って
 噂が駆け巡るな。それはそれで・・・」

「ぐっ。お兄様。
 お願いします。」

「というか、敵か味方か・・・
 はたまた、ただの天然少女か・・・わからんからな。
 あまり 近づくな。フラン。君は・・・大事な「後継者」だからな。」
「はぁ?何言ってんだよ。
 俺は あくまでも アレク兄様の『スペア』だって。
 っていうか・・学園に入ったら好き勝手しようと思ってるし。」

「ははは。そうなのか?
 でも、勝手にいなくなるなよ?」
「大丈夫だって。居なくなるときはちゃんとアレク兄さんには伝えるから。」

まー、学園出たら旅に出ることは
内緒だけどな!
準備が整ったら 兄様だけには「さよなら」を言いに来ようっと。

「とりあえず、何かあれば
 私か、周りを頼るんだぞ?」
「あぁ、わかったよ。アレク兄様。」

ってか、兄様も対外 心配性だな。

防音の魔法を解く。

すぐに騎士たちが 軽くノックして入ってくる。