「フランチェスコ王子?」
「いや、なんでもない。
 セリィローズも学園から来たのか?」

セリィは俺より一つ上だから
去年から学園に通っている。

でも、王宮で開かれるお茶会は ほとんど出席している。

「えぇ。
 紹介しますわね。イトコのラディゴールです。」
「よ、よろしくお願いします。
 ラディゴール=セリア=モントレーです。」

かわいらしい土色の髪の男の子がニコリとほほ笑んで 礼をする。
俺も王子様らしく、にこりと 微笑む。

セリィもいつものように静かに笑う。
彼女の昔のような ふんわりとした 輝いた笑顔は見れない。

自分で婚約破棄して我がままなんだけどさ。あのはにかむ様な輝く笑顔が見れなくて、残念だなぁなんて 思う。

ますます 美人になっていくセリィには
婚約申し込みが殺到してるらしい(ティアからの侍女ネットワークの情報)

一応、去年も今年も
彼女の誕生日には 花をこっそり送りました!
別に、未練とかそーゆーんじゃないよ。

もちろん、俺ってわからないように 送ったし。
街に出たときの買い物練習のついでだな。

お世話になってるからリィアとかセーラにも買ってきたいけど
その前にこっそり 町に出てるって知ったら
マジで怒られそうだしな。

「フランチェスコ王子のお茶会 大盛況ですわね?」
「別に、僕の じゃないけどね。」

肩をすくめて見せる。
まぁ、婚約破棄をしたとはいえ、
彼女のモンレ公爵家が婚約者候補の一番というのは変わっていない。

俺のことなど気にせずに、
素敵な・・・セリィのことだけを 大切にしてくれる人と結ばれればいいのに。

「君、ラディゴール君?
 モントレーってことは、東奥の?」
「は、はい。僕はモントレ公爵家の第三子です。
 あの、東ルアーニル地区は自然が多い場所でして・・・
 その、隣国のガーネリアンとの国境沿いで・・・その、」

「へぇ!! いいな。山とか川もある?」
「はっ、はいっ。あの、少し行けば海に出ます。
 自然豊かですので食に恵まれています。
 国境沿いですので、料理もガーネリアン国風のもあっておいしくて
 森の奥には精霊の泉がわき出ていて
 とっても綺麗な場所なんです!」

お、おう。
ラディゴール君の迫力にちょっと押される。
セリィはちょっと困ったように笑う。

でもいいな、東地区か。
抜け出していくには遠いけど
行きたいな。

精霊の泉・・・水がおいしそうだ。
てか、本物がいるのかな「精霊」

「ラディゴール・・・なぁ、ラディって呼んでもいいか?」
「は、はいっ。お、恐れ多いです。そのっ。」
「よろしくな、ラディ君。
 俺・・・っと、僕のことはフランと呼んでくれて構わないから。」

戸惑う、ラディ君(決定)とセリィに にっこりと 笑う。

よし。
面白そうな友達、ゲット。
仲良くなって、
家に招かれたい!おいしいご飯食べたい!

ラディ君はどうやら俺と同級生らしい。
今度から学園に通うんだと。おぉ。同じクラスだといいな。