公爵は
自分に与えられた執務室に荒々しく入ると、
そろえられた書類の本棚に近寄る。

そうだ、
確か、ここ数回なんども王子に謁見を求めていた教団が・・
光を守護とするみたいな 
最近力をつけてきた教団だ。

何か月か前の調査書類をめくる。
たしかに
フランチェスコ王子は珍しい「光の魔力」の持ち主だ。

しかしながら、
光、の性質だけであれば、
結構いる。
街中で、双子を見つけるぐらいの確立だろうか。

まぁ、王子ぐらいの強力なやつはなかなかお目にかかれないがな。

それに、目を付けられたか・・・。

「チェスター。
 この資料も、フランチェスコ王子の騎士にまわせ。」
「よいのですか、旦那様。」
「構わん。」

極秘扱いの資料だ。

机に積みあがった 書類と報告書をちらりと見てから
「チェスター。
 王に、会う。
 我が、モンレ家はフランチェスコ王子のもとへ 
 セリィローズを嫁がせたい。その意思は変わることはない。と。」


チェスターは 軽くため息をついて「はい。謁見の許可を願いに行ってきます」
と、部屋を後にした。

どさっと
自分の形になじむ椅子に腰かける。
思わず、言葉が漏れる。
「・・・確かに・・そうだな。」
ーーーー意外だな。モンレ公爵。
 父の隣に立つ、あなたは計算や策略に長けていると思っていたが…
 娘にはそれを教えてないのか?
 ほしい物や、気に入らないことがあると
 部屋にこもると「お父様」がどうにかしてくれる。
 という教育方針なのか?


耳が痛い 意見だな。

どうやら、私は娘を溺愛するばかりで
重要なことを教えるのを忘れているようだ。

欲しいものがあれば
それを手に入れる努力を、

フランチェスコ王子が また、隣に立ってほしいと思えるほどの
実力を。


フランチェスコ王子に言われてたことを
ぐっと かみしめる。

まさか、
まさか、10歳と鷹をくくっていた相手に
気づかされるとは。


「・・・ 次代の王は 面白いことに、なりそうだな。」
モンレ公爵は、にやり、と笑った。