*
フラン王子の騎士は
赤髪のビラット25歳ぐらいと
緑髪のタイラー22歳
その二人のお話。
***
彼の人生の転機は、
きっと、あの日ーーー
あの日、図書館で「お前は僕の味方か」と訪ねられたことだ。
その日、彼は
改めて「フランチェスコ第二王子」の騎士になろうと
心に決めたのだ。
*
騎士、ビラットは子爵家の二男であり、
魔力は強いものの、兄が家は継ぐことになっているため
本人は騎士を目指した。
火の魔力が強く、攻撃魔法が得意である。
それを買われて、第二王子付きの警護の仕事まで上り詰めた。
警護についたのがちょうどフランチェスコ王子が10歳。
センパイからも、別に問題はない警護対象だ
という、引継ぎだった。
まぁ、おおむねそうだった。
少し、ぼーっとした感じの坊や、
まぁ、剣も、勉強もほどほどにできる
たまに、ちょっと 気の抜けている感じの
何処にでもいるような
10歳の少年だった。
騎士ビラットは常に付いているわけではない。
今は 使えるべきフランチェスコ王子が
歴史学の勉強中のため
今のうちに書類関係に目を通してサインをする。
警護の騎士だからって
書類仕事が皆無というわけではない。
これでも、『第二王子の専属』だ。
『騎士の祈り』はまだ契約されていないが、
警備や彼の鍛錬の詳細や予算の配分など、
ビラットの仕事だ。
「騎士ビラット様。
例の、内通者の騎士フィロスの処分ですが」
「フィロスは、もう 騎士ではない。」
部下である騎士タイラーがあわてて、「申し訳ございません」と
礼の形をとる。
フィロスは、よくて監獄送りだろう。
憶測でしかないが、リンキー・テイ教団と組んで
フランチェスコ王子を誘拐しようとした罪だ。
もちろん、教団の影は一切出ない。
証拠もない。すべて憶測だ。
現状は、「フィロスが一人で 王子誘拐を計画した」だ。
・・・ちっ。
騎士ビラットは軽く舌打ちをして
書類を受け取った。
身内の不祥事だ。関係各所に根回しもある。
ーーーフィロスの奴め。
かつての同僚のピンク色でふにゃりとした笑顔を思い浮かべる。
つかみどころのない奴だったな。
半年ほど早くフィロスのほうが入団していたが
実質同期だった。
彼の不審な行動を見抜いて、彼を監視し
フランチェスコ王子を攫おうとしている計画を発見し
尋問して自供したのは 騎士ビラットである。
共に 騎士として・・・仕えていただけあって 複雑な気持ちを隠しきれない。
「・・・証拠はないが、王子はまた襲われるかもしれない。」
「そうですね・・しかし、
王子は、評判以上に優秀で、慎重であられるし、俺もいますしね。」
「あぁ。・・・・でも、専属はオレだぞ?」
「わかってますよ。騎士ビラット様。」
騎士タイラーはくすくす、と あどけない笑顔を見せた。
フラン王子の騎士は
赤髪のビラット25歳ぐらいと
緑髪のタイラー22歳
その二人のお話。
***
彼の人生の転機は、
きっと、あの日ーーー
あの日、図書館で「お前は僕の味方か」と訪ねられたことだ。
その日、彼は
改めて「フランチェスコ第二王子」の騎士になろうと
心に決めたのだ。
*
騎士、ビラットは子爵家の二男であり、
魔力は強いものの、兄が家は継ぐことになっているため
本人は騎士を目指した。
火の魔力が強く、攻撃魔法が得意である。
それを買われて、第二王子付きの警護の仕事まで上り詰めた。
警護についたのがちょうどフランチェスコ王子が10歳。
センパイからも、別に問題はない警護対象だ
という、引継ぎだった。
まぁ、おおむねそうだった。
少し、ぼーっとした感じの坊や、
まぁ、剣も、勉強もほどほどにできる
たまに、ちょっと 気の抜けている感じの
何処にでもいるような
10歳の少年だった。
騎士ビラットは常に付いているわけではない。
今は 使えるべきフランチェスコ王子が
歴史学の勉強中のため
今のうちに書類関係に目を通してサインをする。
警護の騎士だからって
書類仕事が皆無というわけではない。
これでも、『第二王子の専属』だ。
『騎士の祈り』はまだ契約されていないが、
警備や彼の鍛錬の詳細や予算の配分など、
ビラットの仕事だ。
「騎士ビラット様。
例の、内通者の騎士フィロスの処分ですが」
「フィロスは、もう 騎士ではない。」
部下である騎士タイラーがあわてて、「申し訳ございません」と
礼の形をとる。
フィロスは、よくて監獄送りだろう。
憶測でしかないが、リンキー・テイ教団と組んで
フランチェスコ王子を誘拐しようとした罪だ。
もちろん、教団の影は一切出ない。
証拠もない。すべて憶測だ。
現状は、「フィロスが一人で 王子誘拐を計画した」だ。
・・・ちっ。
騎士ビラットは軽く舌打ちをして
書類を受け取った。
身内の不祥事だ。関係各所に根回しもある。
ーーーフィロスの奴め。
かつての同僚のピンク色でふにゃりとした笑顔を思い浮かべる。
つかみどころのない奴だったな。
半年ほど早くフィロスのほうが入団していたが
実質同期だった。
彼の不審な行動を見抜いて、彼を監視し
フランチェスコ王子を攫おうとしている計画を発見し
尋問して自供したのは 騎士ビラットである。
共に 騎士として・・・仕えていただけあって 複雑な気持ちを隠しきれない。
「・・・証拠はないが、王子はまた襲われるかもしれない。」
「そうですね・・しかし、
王子は、評判以上に優秀で、慎重であられるし、俺もいますしね。」
「あぁ。・・・・でも、専属はオレだぞ?」
「わかってますよ。騎士ビラット様。」
騎士タイラーはくすくす、と あどけない笑顔を見せた。


