まんまる 卵は
光にすかしても真っ黒で。

「魔力を吸って大きくなるんだったら
 ずっと身に着けていようかな。」
「アレク兄様、
 孵化したら、ぜったい見せてよ!楽しみだなぁ~」
「ははは。わかった。
 サントス、魔獣と魔卵の資料とか集めといて」
「はい。アレッサンド様。」


兄様は楽しそうに笑った。

「でもなぁ。僕
 来月から学校が始まるからな。
 学校で生まれちゃったら、ごめんよ?」
「あ。そうだった。
 み、見に言っちゃ・・・」
「ははは。フランのお付の彼女たちが許さないだろう?
 しかも警備の騎士も急に勤務体制を変えないといけないし・・・」

「あー、そうかぁ。
 でも、教えてね?兄様。」

と、ぱりん。と 小さく破裂音が聞こえて
『防音』の術が解ける。


コンコン、とノックが響いて
「フランチェスコ様。」
セーラが扉を押して入ってくる。


「あ。時間?」
次は剣術だ。

セーラはびしっと固まって
兄とその後ろの青頭を見て深々と礼をする。

「・・・っ。し、失礼しました。
 アレッサンド第一王子。サントス様。」
「あぁ、よい。
 こちらが 庭の散策中に寄っただけだ。
 失礼しよう。」
「・・・・・。はい。」


「アレク兄様。
 ありがとうございました。また、教えてくださいね?」
「じゃぁ、またな。フラン。」

にこり、と兄様を笑顔で送り出す。

セーラは少し震えながら
頭を深々と下げ続ける。


兄様が出て行ったあと、俺はものすごーーくセーラに怒られる。
来客があったらすぐに侍女や騎士に申し付けてください!!
不敬ですし、おもてなしもできないと思われます!!

ですって。
そうか。なんか、ごめん。「兄様に会ったら謝っとくからさぁ」
「そーゆー問題ではございませんっ!!!」

マナーの時間を増やされた。

マジか!!!