結界が張られたから、
普通にしゃべる。
あー、堅苦しい言葉づかい苦手なんだよな。
助かった。

アレク兄様は黒い真ん丸な手のひらサイズの石?
みたいなのを見せた。

兄様の手のひらにちょこんと乗っているのを
そーーとつついてみる。


「なんか、つるんとしてるけど・・・これ、なに?」
「なんだろうねー?」

「え?俺、解んないし。」
「いや、意地悪じゃなくて・・・」

少し、困ってアレク兄様は笑った。

「なにか、分からないんだよね。
 一応・・・『召喚』してみた。」
「え?!マジで?!!すっげぇ。
 じゃぁ、なにこれ、卵?
 石とかじゃなくて?」

「・・・わからないんだよね。
 一応、こっそり僕の魔力とつりあいそうな召喚呪文を試そうと思って・・・
 で、保険で髪を切って
 『備えた』んだよね。」
「そなえた?」
あ、お供え的な?
そうか、魔力がバランスとれてなかったりしたら爆発したり
術が跳ね返って死ぬって言ってたな。

「って、アレク兄様、大丈夫?
 力の暴走的なのってないの?」
「ははは。全然、問題ない。
 まぁ、魔力を詰めた髪はなくなったけどな。
 で、これが召喚されたんだ。卵なのかなぁ」

まんまる。卵だったらちょっと楕円形のイメージだけど・・・

「そーだ、陣にはなんて書いてあるの?
 召喚だったらこれを、召喚しますって書いてあるんじゃないの?」
「あぁ、うーん。魔法文字で書いてあったから
 正直 何の召喚かわからないんだよね。一応、影響が少なそうなのを選んだけど。
 本をみてかいたから形を真似したけど
 何が出てくるっていうのは説明されてなかったんだよね。」

形?漢字が書かれていたんじゃないのか?
前に本で見たときの陣はすべて 漢字で書かれてた。
実際、この兄様が使っている『防音』も感じで書いた陣だろ?

兄様がちらり、と後ろに控えていた
青頭を呼び寄せる。
「サントス。『陣』の写し、持ってるか?」
「はい。」
渡される小さな紙。