とりあえず、
ピィーーっと高い音をだして
それから、ゆっくり音階をおりて鳴らす。
うん。
曲なんて出来ないからね!
まだそこまでの実力ないからな!
「おぉ。上手になったな。」
「ありがとうございます。って言っても
音階がやっと出せるようになっただけですけどね。」
「ふふ。フランが丁寧に落ち着いて
レッスンを受けれるようになったって
先生方も 喜んでいたよ。言葉づかいも大人っぽくなって
もう、立派な紳士かな?」
「えぇ?兄様、言い過ぎですよ。
僕は まだまだ『子供』で構いません。」
せっかくだから、子供の時間を 楽しみに過ごしたいし。
アレク兄様はまた楽しそうに笑って「そういう言い回しが子供じゃないし。」
といって僕の頭を撫でた。
肩までの黒髪がさらっと風になびく。
「あぁ、もったいないな。
せっかく武将みたいだったのに。」
「ん?」
「ほら、髪の毛、
ぐるぐるって後ろで上に結んでて、武将みたいでよかったんです。
俺のかみじゃぁ、ふわふわの上に、黄色っぽいから
そんな、かっこよくまとめられないし。」
アレク兄様はきょとん、とした顔をして
自分の髪をつまんだ。
あ。思わず、普通にしゃべっちゃったよ。
兄とはいえ、第一王子。
誰かいるときはきちんと敬語とマナーを気をつけないと、
何処で、変な噂されるか解らない。
「す、すいません。アレク兄様。僕・・」
「いや、いいよ。
そうか、フランは本当に 僕の黒を、嫌ってないんだね?」
「あぁ、まぁ、そうです。」
別に、嫌う要素はないかな。
「うーん。
じゃぁ、ちょっと秘密を教えてあげよう。」
「アレッサンド様!」
「サントス、下がって。」
「・・・・・・・・・はい。」
お、おう。なんだ?
青頭を下がらせた兄様。
素早く、指から光の筋。
これは前も見たな「防音」だ。っと、その上に『絶対ひみつ』・・・?
ぽうっと少し光って
術が発動。「さて。」
兄様がにこりと笑って
羽織っていた ジャケットから小さな黒い・・・何かを取り出した。


