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僕の忠実なる侍女のリィアが
寝る前のお茶と
俺の髪をとかしながらうれしそうに話しかける。
ご機嫌だなぁなんて、思ってたら
なかなかの爆弾発言を落とした。


「フランチェスコ様。
 セリィお嬢様と仲良くなられたようで。」
「・・・セーラが報告したの?」
「ふふふ。
 セーラからもですけど、
 セリィお嬢様の公爵家には私の叔父が仕えていますので
 そちらのメイドや侍女とも仲がいいんです。」
「・・・さすが・・・リィアだね。」

リィアはふふふ、と笑った。

そういえば、リィアは早くに旦那様をなくして
子供と一緒に 叔父の所にお世話になってるって言ってたっけ。

その叔父が
モンレ公爵の側近かぁ。


「・・・・というか、仲良しっていうか・・・
 一目ぼれでした。
 って言われただけだし。」
「あら、まぁ。素敵ですねぇ。
 フランチェスコ様はセリィお嬢様はお嫌いですか?」
「いいや、愛らしい容姿に
 あの緊張した感じも 好印象だけど…それだけで好き嫌いを決めるほどには
 情報量不足・・・」
「フランチェスコ様?」
「いやっ。嫌いじゃないけど、
 よくわかんないよー僕っ。」

あわてて誤魔化す。

っと、ちょっとしゃべりすぎた。
子供らしくなかったかな?

「まぁまぁ。
 でも 今から愛を育てて行けば大丈夫ですよ。」

・・・愛を育てるって・・・
あの、少女と?!

ってか、俺 まだ 10歳なんだけど!?
愛をささやくには早すぎるし、性欲もわかないんだけど?!
たしかに、「かわいい」けど、
小さい子に対する「かわいい」だしな。

あー、でも、20歳ぐらいの美人のメイドさんとか見ても
綺麗だなーって思う程度で
どうにかしたなーっていう オトナな部分は出てこないから
やっぱり体や精神は10歳の子供 なんだろうな。


って、だから、
そんな俺があの、セリィと愛を・・・とかって
「・・・・無理じゃね?」

うん。どうにかして解消してもらおう。
それがあの子のためだな。

ふわりと レモン色の髪の毛をした彼女の
恥ずかしいそうな笑顔が浮かんだ。

予定外だなぁ
大体、こういう『婚約者』って家同士が決めた
政略結婚だから
お互いに『無関心』的なのが普通じゃないの?

あんなに 好意を向けられたら
将来冒険者になるとき、婚約破棄できにくいじゃん。