王子は冒険者になる!



ロックパティの独り言 下





罪はないし、
ただ、彼らは『旅行』に行っただけだよ。

ウルーチェ様の言葉が響く。

なにやら、術が確定したのがわかる。
この件でシャボンワーク家が罪に問われることはないであろう。

ロックパティは静かに胸をなでおろした。

あとは、ジョイルが楽しく「旅」を楽しんでくれるといいのだが。

表情には出さないようにしているが
騎士の二人は 冒険者チェースこと、
フランチェスコ第二王子に出会えなかったことにひどく落胆しているのだが

まぁ、ひどいことを言うようだが
ロックパティには関係ないことだしな。

なんて、のほほん と
ロックパティは紅茶を一口飲んで
かわいらしい婚約者(仮)の髪をなでる。

側近の彼は
ウルーチェ様に敵意むき出しだ。

ウルーチェはウルーチェで
「じゃ、もう帰れよ。
 迷惑じゃ。」
なんて言いながら、
三人を追いやろうとしている。

「絶対ついていきます。
 貴女の事です、どうせ フランチェスコ王子に接触するんでしょう?」
「ジゼ。しつこいと嫌われるぞ?
 かわいい子には旅をさせろって。
 なぁ?騎士タイラー??」

「俺。。っと、私には返答いたしかねます。」

「なんじゃ、つまらん。
 なぁ、騎士ビラット?」

「私は、一刻も早くフラン様にお会いしたいです。」
「ははは。そろいもそろって、
 フランチェスコ王子の周りは『束縛』がすきじゃの。
 そりゃ 息も詰まるわ。」



「なぁ、ロックパティ=シャボンワーク。
 固い連中じゃろ?」

「ウルーチェ様。どうでしょうねぇ。
 私も、大事なものは大切にしたいし
 閉じ込めたいので。

 ・・・ただ・・・そうですね。
 大事にしすぎて、大事なことが見えてないかもしれませんね。」

ロックパティは ユリカの髪にちゅ。と軽く口づけを落とす。

三人の騎士たちの気持ちまでは
ロックパティにはわからぬが、
とりあえず
旅に出た義弟と、その友人の
安全な旅を願うように、窓の外を見上げた。


きらきら、シャボンワークの空に
シャボンが光に反射して 美しく輝くのであった。