「・・・冒険者 チェース。
あなた、いったい・・・」
最初に口を開いたのは
依頼者である ユリカお嬢様。
いったいって言われても・・・
とりあえず、
フランチェスコ王子として笑っとくか。
にこり、と笑顔をきらりと振りまくく。
「おぉ!!さすがじゃのぉ。
こんなに広範囲を一度に覆うとは。
空気も気持ち良いの。あぁ、シャボンの花も輝いてるぞ。」
「いや いや、
だって『結界の陣』と『拡散の陣』はウルーチェ先生が書いていたし
増幅の魔法だって 書かれていたら
俺 魔力注ぐだけじゃん。別に俺の力だけじゃないし。」
自分で陣も描くと、すんげー疲れるから
魔力を注ぐだけってすごく楽。
困惑したように、ロックパティ様が近づいてきて
礼の姿勢を取る。
「あ、あの。
その、数々の無礼を・・・」
あー、これは俺の正体に気が付いたパターンか?
「よい、無礼など受けてはいない。
それに これは賢者ウルーチェと そちらの『契約』だろう?
それ相応の対価は受け取った。」
一応 それっぽく 告げる。
こーゆー 堅苦しいの久しぶりだな。
てか、
布、重い・・・
「!!!?」
バッと空を見上げて ウルーチェ先生を見る。
「あ、気が付いたかの?」
「せんせえぇぇぇえ!!!やっべーじゃん?
ってか、わざとだろ!?」
「ふふふ。私にとって
君の側近のジゼティシアローもかわいい孫みたいなもんなんだよ。」
楽しそうに
綺麗な赤い口を横に釣り上げた。
そんな笑い方したら、まじ魔女じゃん。先生。
あーー、やべぇな。
俺の魔力を感知したら『飛んでくる』系の魔法じゃん。
ちりちりと耳の後ろに
刻印されている印が痛む。
これ、一応 防犯センサーみたいなやつね。
いつもは 魔力抑えてたからこれも抑えてたけどさ。
ついつい 忘れてたよ。
ジゼだけだったらいいけど・・・
騎士ビラットとかが来て『確保』されちゃ
俺が 返せるきもしねぇからなぁ。
「おい!ジョイル!!
行くぞ!!」
「え??!!!」
がしぃ!!!と俺はジョイルの腕をつかんだ。
「ウルーチェ先生!あとはよろしく
あと、口止めもしといてよ!!」
だんっと 大きく踏み出して
ぶわっと魔力を下向きに放出する。
「う・・わぁぁぁ!!!!!!」
隣で叫ぶジョイルをしっかりとつかみながら
俺は光の屈折で 姿を消しながら
空へと大ジャンプした。
「おぉぉ。やりよるの。」
楽しそうに 笑っているのはウルーチェ先生だけで、
他の皆はただただ呆然とこの惨状を 眺めているだけであった。


