くすくす、ウルーチェ先生が笑う。
「さて、どうする?ロックパティ=シャボンワーク。
義弟である ジョイルは
君の後を継げないであろう?シャボンワークの血が薄すぎるからな。
優秀なのはわかるが、
もっと世界を広げてやるのもいいのではないか?
ほかの未来の可能性を広げさせてやるのもいいのではないか?」
「そういう問題ではなくて、
・・・ジョイルは 大事な家族なんです。
それを、すぐに手放すとか旅に出すとか・・・心の用意が・・・」
「そうか、残念じゃ。
チェースによい仲間が出来るかと思ったんじゃがの・・」
って、俺のためかい!
ウルーチェ先生・・・さすがに無理やりすぎませんかね?
街に出るとか、隣の領地に遊びに行くとはちょっとレベルが違いますって。
少しの沈黙の後、ジョイルがずいっと 前に出た。
「・・・ウルーチェ様。僕・・・、
お義兄さん・・・。 僕 行きたいです。」
「え?ジョイル 何言って・・・」
「おぉ!!よく言ってくれたのぉ。」
「おぉーい!よく考えろよジョイル!」
まじか!
って 振り向いたら
ジョイルはまっすぐ 俺を見て、
そして 義兄である ロック様を見た。
「・・・義兄様・・・いえ、ロックパティ様。
僕は・・・もっと成長したい。
だから ウルーチェ様のご指示通りに・・・
チェースとともに 行きます。」
「・・・・。ジョイル。」
「・・・家族、と言ってくれて
本当にうれしかった・・・です。
弟して・・・戻ってきます。
必ず、成長して 戻ってきます。」
や、やべぇ、
俺 泣きそう。
って、ウルーチェ先生 若干泣いてるじゃん。
「いいのぉ。
契約、成立じゃな!!!
ほれ!!「フランチェスコ」範囲指定してやるから
光の守りをかけるのじゃ。」
って、フランチェスコって本名 呼んでるし。
って、範囲指定の 結界術 マジはやい。あっという間に森のほうまで行きわたる。
さすがですね。ウルーチェ先生。
あぁ、もう、仕方ないなぁ。
「もぉおおおお!!!
俺はもっと 平穏に過ごしたいのに!!
ウルーチェ先生!!責任とって尻拭いしてくださいよ!」
「はいはい。任せとけ。」
「ウルーチェ先生っ。
ちゃんと、冒険者ギルドの 姐さん達にも謝っといてよ。
あっ!ユリカお嬢様 すいません。
たぶん、帰りは同行できません。
あーぁ、契約破棄かぁ、俺 優良冒険者だったのになぁ。」
ユリカお嬢様は何か言いたげだったけど、
まぁ、あとの処理は 言い出しっぺのウルーチェ先生に任せよう。
耳飾りを取る。
きらり、と一瞬の光。
ぱち ぱちっ と軽く 静電気が鳴って
髪色が・・・・
瞳が・・・そして、意識して魔力をすこし、外に向ける
キラキラっと 魔力を感じる。
久しぶりだな。
ふっと、周りが息をのむのがわかる。
これが、「フランチェスコ第二王子」だと
正体がわかるものは少ないかもしれないが
まとう「光の魔力」はわかるだろう。
ウルーチェ先生が、後ろに敷いてあった白いテーブルクロスを引き抜いて
俺に渡す。えー?あれをやれって?
覚えているかなぁ・・・。
「光よ・・・光。
まとう その輝き・・・」
言葉を紡ぐ。
布を大きくばさっとふり 旗のようになびかせる。
それに光の魔力をまとわせて
拡散する。
光の術者には『舞問』という それっぽい舞の練習がある。
よくわからんけど
俺には、舞うことにより 魔力を高める というより
見ているものの神聖さや信仰心を高める。
といったほうが 正しいだろ。
まーー、社交ダンスよりは断然簡単。
ほれ、ここで軽くジャンプして回転。
「光とともに、我とともに
守りを紡ぐ」
で、力、放出!!!!っと。
ぶわぁあああぁぁぁ
お、出来た。
なかなか放出したんじゃね?
光の筋が町を一気に通り抜け
森の端まで言って上に上がって ぱあっと消える。
おーー、こんな広範囲やったの初めてだけど「きれいだな。」
思わず口に出た。


