王子は冒険者になる!


ウルーチェ先生は
「おいしかった。ありがとー、ジョイル兄ちゃん!」
と元気に笑った。
ジョイルはというと、もちろん少し顔をひきつらせながら
「ドウイタシマシテ」
とつぶやいた。

それをみて笑った。
そして、
笑った俺を見てウルーチェ先生は
複雑そうに 笑った。


「?なんっすか?ウルちゃん?」
「いやぁ、
 何っていうのかなー。運命なんだろうなと。」

?なにが?

「この 町で
 まさかジョイル=リザマートに出会うとは・・・。
 しかも 海辺の町って・・・「光の刑務所」の街でしょう?」

光の刑務所?
えぇと、重大犯罪者の刑務所だっけ?


「あーそうなんだ?
 ジョイルと会ったのは偶然だし・・・
 まぁ運命っちゃぁ運命かな?
 なぁ、ジョイル?」

「・・・えぇ・・・そうですね。
 まさか、もう一度 フランチェスコ様に会えるとは
 思ってもみませんでしたし。」

「最初っから、友達になる運命だったんだろうな!」

にかっと笑う。
ジョイルはびっくりしたように 目を見開いてから
少し顔を赤らめてから はにかんで笑い返した。

それをちっちゃいウルーチェ先生は うんうん と
満足げにうなずく。

「てか、海辺の町の「光の刑務所」って なにかあった?」

「ん?なんだ、知らなかったの?
 フラン・・・いや、冒険者チェース。
 あそこは・・・まぁいいか。一緒に行くか?そこに。」

「え?別にいいけど・・・何かあるのか?」

「うーん・・・面会、できるかねぇ・・・
 光の刑務所は警備がすごいのよねぇ。
 あいつ重罪だけど、まぁ「フランチェスコ第二王子」が居れば
 大丈夫だろうなぁ。
 祭りが終わったら、いくか・・・
 ね?ジョイル兄ちゃん♪」

「・・・・・ん?
 え? ぼ、僕?え?」

あ、ウルーチェ先生のなかで
ジョイルも一緒に『隣の領の「光の刑務所」』とやらに
行くことが決定している。

あわあわ としているジョイルの肩にぽん、と手を添えた。

一緒にロック様に申し出てみるから
がんばれ。

たぶん、『いかない』選択はむりだぞ。