王子は冒険者になる!


ウルーチェ先生は どうやら「光の術者」の認定を受けているらしい。
知らなかったよ。

「薬草学の『賢者』とかいわれてるしねぇ?
 光の適性ぐらいないと 薬草など育てられぬでしょう?ねぇ?」
「いやぁ、そうなんだけどさ・・・
 ・・・あ、もしかして俺がここにいるから 
 シャボンワークのお祭りの『役目』を受けたんですか?」

「そりゃそうよぉ。
 ちょうど、フランの坊やの『場所』と依頼があったのが近かったから
 会えるかしらねぇと思ってねぇ。 まさか『領主の屋敷』にいるとは
 思わなかったわねぇ。」
「俺もなりゆきで・・・同行者の依頼中です。」

「そうそう、あの 魚のデザートおいしかったわぁ。焼いてあって・・・」
「あぁ、あれは 隣の領のなんですよね。
 魚なのにスイーツって 意外性があって面白いっすよね。
 港町で 俺が今拠点にしているところ。」

「ここの おいしいお菓子も食べたいわぁ。」
「じゃぁ 後で下町に行きましょうか?
 あ、でも俺この町来たばっかりだからな
 ジョイル、一緒に行こうぜ!」

俺は、ベッドの上に座り込んでいるジョイルに話しかける。
ジョイルの部屋のソファーは俺とウルーチェ先生で独占中。

ワンルームのこの部屋は
シンプルなつくりで仕切りのない広めの一部屋だ。
奥の窓側にベッド
中央に机とソファ。
シンプルだなー。

「・・・・!!!
 なんで、僕の部屋で 大賢者ウルーチェ様と 
 チェースが 話し込んでるんですか!」

「えー、細かいこと気にすんなよ。」


びしっと 親指を立ててやる。

あーうーと 戸惑うジョイル君。

「あー、ウルーチェ先生が
 怖いんじゃないっすかね?」
「あら、私かねぇ。? 無意識に『威圧』してたかねぇ。?」

のほほんと しゃべる俺たち。
まぁ、ジョイルは相変わらず戸惑っている。

ま、とりあえず 街中を案内するのは決まりだな。




「ほらほらっ。あれが食べたいよーお兄ちゃん。」
「仕方ないなぁ。ウルちゃん。
 ほら、ジョイル兄ちゃん買ってやれよ。」

「・・・・はぁ。」

すっと 屋台の肉焼きを三本買って来て
差し出すジョイル。

おぉ、うまそう!焼き鳥に似たヤツ。

「おいしーねっ。お兄ちゃんたちっ。」
「おぉ、ゆっくり食べろよ。ウルちゃんっ。」

「・・・・っていうか!
 なんで、ウルーチェ様がちっちゃくなって・・もごもごっ」


ジョイルの口をふさぐ。
言っとくけど、ウルーチェ様は 年齢不詳だ。
老婆から幼女まで姿を使い分ける。
いちいち突っ込んだら ダメだ。

俺がもっと いたいけな場の空気を読めなかった
ガキの頃 いらん 質問をして
笑顔で『お仕置き』された。
女性に 年齢と姿のことは禁句だ。