俺さ、今 モーレツに反省してるわ。
問題です。
ユリカお嬢様とこの屋敷の主のシャボンワーク様が
ソファに座って歓談しているとき、
ただの庶民の冒険者はどこにいるでしょうか?
正解はユリカお嬢様の座っている
ソファの後ろに少し下がって立ってる。
つまり ずーっと立ってるってことだ。
俺も、王宮にいたとき
護衛騎士の騎士ビラットや騎士タイラーが大体この位置だったし
俺が勉強や書類見てるとき
ジゼが少し後ろで待機してたり、アドバイスしてくれてたりして
まったく、気が付かなかったけど・・・
会話に入らないでただただ
後ろで待機って・・・きっつい!!!!
もー、みんな、
マジごめん。
ただ 立っておくって暇なんだな。
座ってもらえばよかったし、
用事とかさっさと終わらすよ。
王宮に戻ったら とりあえず、座らせよう。
まぁ、真面目な騎士ビラットのことだから
騎士は立つのも仕事ですなーんて言われそうだな。
想像できて思わず笑ってしまう。
そうだなぁ、王宮宛に、シャボンワークシティの名物でも送っとくか。
「楽しそうだな、
何かあったか?チェース?」
「え、あぁ、えーっと。シャボンワーク様。
ちょっと思い出し笑いです。すいません。」
「はは。ロックでいいぞ。家名を言われると
この街じゃ、紛らわしい。」
「はい、では、ロック様とお呼びします。」
軽く頭を下げる。
「そういえば、ロックパティ。
あなた自慢の「温室」が見たいわ。
きっと 咲きほこっているんでしょう?」
「おぉ。ユリカ。覚えていてくれたのかい?
今年もきれいに咲いているよ。
案内させよう。ジョイル!」
軽くノックがした後、
失礼します。と言いながら入ってきた少年。
俺と、同学年っぽいな。
少し幼さのこる顔立ちに、紫色の髪。を
後ろに一つにまとめている。
目つきは、鋭く
俺らを睨むように一瞥する。
お、おう。
お客に対して失礼だな。
「---ロック様、お呼びでしょうか?」
少し ハスキーなざらつく声。
「あぁ、ジョイル。お客様を温室に案内して。
説明もな。大切な美しいお嬢様にご満足頂いて。」
「・・・・かしこまりました。」
軽く頭を下げると、ジョイルと呼ばれた少年は、静かに扉を大きく開けて
俺とお嬢様をどうぞ、とエスコートする。
どうやら 領主さまのロック様は少し仕事があるらしい。
夕飯はご一緒にということらしい。
俺は、ユリカお嬢様の楽しそうな後姿を見ながら
ついていくだけだった。


