「ほら、あそこが
 「妖精の森」よ。あそこは国に守られている侵入禁止ゾーンなのよ。」

「ほら、あそこはラチェットの泉ね。
 緑の鉱石がとれるのよ。あ、あそこはーーー」

「へぇ。」

目の前の幼女は短い脚をくんで
エラそうに見える景色を解説してくれる。

窓から見える景色はゆったりと流れていく。

・・・めっちゃ 快適。

うわぁ、移転魔法最強と思ってたけど、
これはこれであり。

てか、数人が
交代で風魔法をかけて
この「台車」を動かしているんだけどな。
ちなみに、その術をかける人は
ポイントポイントで移転しています。

で、一人運転者みたいな人が
細かく方向を魔力操作している感じ。

あんまり『車』とか発達していないからなー
道は整備はされていない。
でも この台車浮かせているから
関係なしにすいすい~と進んでいく。

なんだったら、風魔法の魔石を台車に組み込んでしまえばいいんじゃない?
エンジンみたいに。

うんうん。
もし、こんど アレク兄様ぐらいに言っておこう。


「って聞いてるの?チェースっ。」

「ん?なぁに?ユリカお嬢様。ちゃんと聞いてますよ?」

面倒ですが、それが『同行者』のお仕事ですので。
ユリカお嬢様は 「聞いてるならいいのよっ」と言いながら
ぷいっと窓のほうを向いた。

耳が赤い。

照れるくらいなら 聞かなければいいのに。

てか、うぬぼれじゃなければ
惚れられた?

・・・・・んなわけないか。

うぬぼれすぎた。まぁ 造形は悪いほうじゃないと思うけど、
フランチェスコ王子のときのようにキラキラ魔力で魅力をアップしていないから
そんな、惚れられる要素は、すくねぇな。


「あ、そういえばユリカお嬢様。
 今から行くご友人はどういった?」

「ふふん。気になる?私のことが気になる?」

「・・・まぁ、仕事ですし。」

「し、仕事ね。まぁ、そうよね。
 幼馴染の友人よ。気のいい人だから
 気を使う必要はないわ。」

へぇ。

ぶわっと、山道を抜けるとひらけた街が目に入る。

おぉお。山の中の『隠れ里』

あちこちに 風船みたいなシャボン玉が浮いていて
光に反射して柔らかい光を醸し出す。
あわい、パステルカラーの光があちらこちらに
飛び交っている。


なんだ、ココ。すげぇ!

「ふんっ。初めて見たの?
 田舎者なのね!!」

「えぇ!初めて見ました。お嬢様。
 ワークシャボンの里ですね!???」

本でしか読んだことねぇ。
これか!てか、現物 書いている以上に 綺麗で
幻想的じゃないか!!

うわぁ。
ココだったのか~。
マジ、感動!!!

「ま、名前はしってたのね?有名なところだから、
 連れてきてあげたのよ。感謝なさい。」

「ありがとう。ユリカお嬢様。
 俺 こんなに綺麗だとは思わなかった。」

すげーーって。
あー、面倒だったけど同行してよかったよ。
うん。うん。

「わ、分かればいいのよっ。」

なんて言いながら ユリカお嬢様は顔を真っ赤にしながらぷいっと窓のほうを向いた。