「じゃ、無事ミッション終了と
 出会いにかんぱーい!」

「「「「乾杯!!」」」

うおぉ。と 野太い声とともに
笑い声と酒が飛び交う。

俺は、一応 レモンとうすーーい酒の入ったカクテル。
まだ、ガキだろ。
というダイナラスさんの一言で
目の前のビールは没収されたのだ。

一口ぐらいいいのに・・・ちっ。


「チェース! 今日はお疲れ。
 すごかったのねぇ。倒れなかったんだって?」
「イチカ姐さん。たまたま、だよ。」

「あらぁ、魔法量が多いのは自慢よ?」
「そうっすか? 光の魔法で浄化した後、島の周辺の水中調査で
 バテバテなんだけど・・・」

「あらぁ。でも、ちゃんと周辺の生態には
 影響でてなくてよかったわねぇ。」

うふふ。とわらって魚の煮つけを食べた。
ホントによかった。
影響が出てたらしばらく汚染された魚が水揚げされるから
せっかくの新鮮な海鮮が食べれない。

「チェースの魔力は、
 騎士ぐれーはあるんじゃねぇか?」

「ダイナラスさん。」

ふいに声をかけたのは相変わらず強面のダイナラスさん。
豪快に笑いながら
俺の頭を わしゃわしゃ 撫でた。

「ダイナラスでいいって。チェース。」
「ダイナラスこそ、すっごい綺麗な魔法陣だった!!
 俺、あんなの 見たいことない。」
「お。坊主。わかるか?」

ホント、きれいだった。
浄化があんなにきれいに発動したのも初めてだったし。
やっぱり『陣』を書くのもセンスなんだな。

「チェース。ダイナラスさんは『増幅魔法』のトップレベルの魔法を使うのよ。
 さすが、元・王宮騎士よね。」

「へぇ~ 王宮騎士・・・だったんすか?」

じゃぁ、俺ともあってるかなぁ?
でもこんな 迫力のある人だったら忘れないと思うけど。

「あぁ。といっても、下っ端だったけどな。
 門とかゲートの見張りやってたんだよ。」

「なるほど。確かに、門は強面の屈強な騎士が多いから。」

納得。あそこは いろんな人が謁見や交渉に来るから
迫力のある威嚇の出来る 実力者がそろってたな・・・。

と 考えていたらダイナラスがにやりと笑った。

「坊主、やっぱり貴族だろ。どこの坊ちゃんだ?
 王都の「王宮騎士」のことなんて、普通わかんねぇぞ。」

「ダイナラス。
 だめよぉ。チェースをいじめちゃ。」

「・・・あ。まぁ・・・」

言葉を濁す。
完全否定するより、どこかの訳あり坊ちゃん。としたほうが
ボロも出ないだろう。
なんだかんだで、長年身についたマナーとかさ。
自分で言うのもなんだけど、
上品な身のこなし だからな、俺!

がはは、とダイナラスは笑ってぐいーっとグラスの酒を飲み干した。

「詮索しねぇよ。
 まぁ、オレも 王宮から追放された身だからよ。」

「え?問題でも起こした?
 って すいません。俺のほうが詮索しちゃって。」

「かまわねぇよ。オレ・・というか、身内だな。
 親戚すじの優秀な騎士が不祥事を起こしたんだよ。
 せっかく、護衛騎士にまで抜擢された優秀な奴だったのに。」

・・・護衛騎士?
知ってるやつかな?
不祥事起こした奴なんていたかな?父か兄さんの護衛騎士か?

「なんだ、護衛騎士っていうのはな、
 王族についている 剣技も魔法力も秀でた優秀な騎士なんだよ。
 オレの親戚の奴も『第二王子』の騎士だったんだがなぁ。」

「え?」

俺?

思わず声が漏れる。