小舟四艘に分かれて乗り込んだ俺たち。
現場はすぐについた。無人島・・というか、
でかい岩場だなぁ。
20人ほど募集したというが、集まってるのは13人ほどか。
くぼみ、とやらは、すぐに見つかった。
「うわぁ・・・」
「大丈夫かよ。これ。」
岩場の中央に、まるで『ダンジョンの入り口』みたいな感じに
くぼみ、というか洞窟みたいだ。
そこから、紫というか、グレーというか
煙のように瘴気がたちのぼる。
この瘴気をほおっておくと 植物は毒になり、動物を狂わせ、本能のままに周りを傷つける「魔のモノ」となる。
人であったら正気を狂わせ自我を保てなくなる。
まぁ、でも コレ・・・すんげーー気持ちいいらしいんだわ。
いわゆる「麻薬」的な?
きちんと使えば、『麻酔』的な感じで
手術や病気療養の薬として利用されたりするんだけどな、それを利用するより魔法で癒したほうが早い。
でも、これを闇ルートで販売 とかよく聞くし、
街の『黒い団体』さんは、裏でガッツリ取り仕切ってる。
よく王宮の警備でも
街中での『瘴気』の使用が問題になってたしな。
きちんと浄化しようとするここの領主さまはキチンとした人なんだろう。
ありがたい。
海鮮もおいしいし最高だなこの町!
「おーい。
陣を書いたぞ。みんな 浄化の光を よろしく頼む。」
「「「おう!」」」
ふと顔を上げると
ダイナラスが大きく魔法陣をかきあげていた。
空中に浮かぶそれは「増幅」と書かれた
美しい魔法陣だった。
「うわぁ・・・」
思わず、ため息が出るくらい。
すげぇ。
いろんな魔法陣を学んできたけど・・・
綺麗だな。
中央に『増幅』
周りの円には、力を循環、とか、そーいうこと。
ただその字の書き方やところどころ 花や光をあしらった綺麗な
装飾・・・繊細だな。
「ほれ、坊主!」
「あっ。はい。」
俺もあわてて 光の『浄化』の魔力をすこーーーしだけ流す。
陣に乗せるだけだから
書かなくていいのが楽だなぁ。
と 思ったのもつかのま
ぶおぉおおぉぉん。
と鈍い音がして
陣が輝きだした。
「うわ。すげぇ。さすがダイナラス。」
「これなら、一発で浄化できるのぉ。」
陣を思いっきり「うおらぁぁぁあ!!」といってダイナラスが
その『瘴気』に向かって投げつけた。
ぶわぁああ。と 霧が晴れる。
キラキラ。
光と ふんわりと花の香り。
あぁ、このための陣に書かれていた『花』や『光』か。
確かに、この方が浄化らしいし 美しい。
「おぉ。坊主。なかなか
魔力は強いらしいな?どこかの貴族の坊ちゃんか?
言葉使いも身のこなしもきれいだしな。」
「え?そんなことナイヨー。」
急にダイナラスに話しかけられて挙動不審になる。
「なんだ。
隠さなくても、詮索しねぇし、ばらさねぇよ。
ただ、ほれ、光の魔力を使っても 平気な面してんの、お前だけだしな。」
「え?」
周りを見ると、
座り込んでいる人や、肩で息をしている人・・・
あ、あの人、苦い回復薬をのんだ。
知らなかった・・・
ひ、光って・・・体力使うんだ。
俺の魔法の適性が「光」だからな。
光が一番 体力使わないんだが・・・。
「ははは。案外、光の魔力と相性いいかもしれんぞ。
うまく言ったら 王都で騎士になれるんじゃねぇか?」
「はははは。」
乾いた笑いしかでないよ。


