指定された港に行くと、
冒険者が何人か集まっている。

「おぉ!ダイナラス殿もメンバーだと心強いな。」
「久しぶりだな。」
「ダイナラス!山討伐のとき以来だな。元気か?」

わさわさ とダイナラスの周りに
人が集まる。

おぉ。このおっさん、顔が怖いだけじゃなくて
人望があるのか。
受付の姐さん達も「大丈夫」と言ってたしな。

「なんだ、お前 新人か?」

「あっ。はい。チェースです。」
ダイナラスさんがぱしーんと頭を叩く。

「がははは。冒険者がお上品にしゃべってんじゃねぇよ。
 普通でいいって!」

他の冒険者も笑う。
基本的に冒険者同士は敬語や敬称は不要だ。
誰が ボスか ばれてしまうし。

「ダイナラスさんに引きずられて来たんだろう?」
「面倒見がいいからなぁ。
 新人の経験のために 大がかりなミッションのときは連れてくるんだよ。」
「さすが、ダイナラス様だよなぁ。
 元、騎士だし。今回、増幅魔法もダイナラスがかけるんだろう?」
「おいおい!オレはまだ騎士だって言ってるだろ。」
「月一しか仕事ねぇって言ってたのに?」

がはは、と仲間が笑う。

ダイナラスさん『増幅』が使えるのか。
結構レアスキル。
というか・・・
あのダイナラスさん あんな 凶悪そうな顔なのに騎士だったのか。
いや、別に騎士は顔では選んではないけどな。
・・・・たぶん。

俺の周りに 顔の良い奴が多かっただけかな?
騎士タイラーも騎士ビラットも 貴族出身だからかな。
小奇麗で タイプの違うイケメンって感じだったし。

「ほら。坊主。
 依頼主の領主さまだぞー。」
「小僧はちゃーんと光魔法使えんのかぁ?」

「あっ。はい。少しだけだけど。」
ダイナラスさんは がははは、と 豪快に笑って くしゃりと頭を撫でた。

依頼主の領主さまは 初老の体格のいい親父って感じだ。
港から、少し北西に進むと無人島があるらしい。
何にもない、草さえ生えていない岩肌の島で100mほどの小さな島だが
そこの中央のくぼみから『瘴気』が発生しているらしい。

今回はそこの島の調査と
そのくぼみの『浄化』が仕事。