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「おーい。
 チェース!これも持っててくれよ。」

「はいよ。おじさん。
 ちゃんと、姐さんたちに渡しとくよ!」

俺は渡された小麦粉の大袋を担いで
ついでにと渡されたお菓子を受け取る。

俺 フランチェスコ第二王子 改め、冒険者のチェース。

フランでもよかったんだけどさ。どこにでもいそうな名前だし。
一応、念のためチェースにしてみた。

偽名って感じで気に入ってる。

心配していた髪も全然もとに戻らないし、
完璧だよ。バームス先生。
さすがっすねぇ。

気が抜けて「光の魔術」を大量に使わなければ 
だーれも、フランチェスコ王子ってわかんないだろうな。

んで、
俺、今 海辺の町のギルドに併設されている食堂の見習いしてるんだぜ。

付いたらすぐに登録して、仕事を探そうかと思ったら
丁度 そこにいた ランチャーさん(料理長)と
意気投合。魚は 刺身がうまい!ってな。

あんまり 生で食べる習慣はないらしくて
確かに王宮にいたときも 焼いたのか煮つけっぽいのとかだったしなぁ。

んで、ランチャーさんが
下働きで働け!っちゅーから、住み込みながら 働いている。

ラッキー!

めっちゃついてる。

料理できませんよ?って言ったら、
買い出しや、荷物運びをして、
注文とれる(読み書き計算ができる)ヤツがほしいらしい。

おぉ!はいはい!
俺、出来る子です!ってもんよ!

まぁ、簡単な料理は作れるようにはなりたいけどさ・・・
ガンバリます。

んで、今も元気に材料運搬中。

仕入れてきた材料を
どさりと 倉庫にしまう。

中からはいい匂いがする。
そろそろ ランチタイムだもんなぁ。
厨房は忙しそうにパタパタ。

さて、俺もホールに出て、用意しないとな。

ここにきてもう2か月。
すっかり慣れて『看板息子』のように可愛がってもらってる。
可愛い女の子じゃなくてごめんな。

でも、みんなの優しさがすんげーありがたいな。

「チェース! 食器出しといてー!」
「はぁーい。」

冒険者兼 食堂見習いのチェース。今日も元気です!