*
****
フランチェスコ第二王子が逃亡。
そんな知らせを
城の使いから聞いたラディゴール=セリア=モントレー公爵子息の
ラディは、ばさり、と持っていた教科書を落として
あわてて拾った。
「え、その。
あの、フラン様が?ほんとに?」
「はい。えぇと、他言無用でお願いします。
まだ事後処理と捜索がありますので私はこれで。」
「わかり、ました。」
「ひとまず、いつも通りで。
あとは、指示を仰いでください。」
学園の寮まで知らせを伝えに来てくれた騎士は
軽く礼をしてそのまま立ち去る。
寮のほうから 声が聞こえて
ラディは はっ。と気を持ち直して
あわてて学園のほうへ駆け出した。
*
僕は駆け出した。
うん。学園を走るだなんて
マナー違反だよね。わかってるけど・・・
セリィローズは知ってるのか?
はっ。もしかしたら・・・共犯者?
そんないら立ちと不安を抱えながら、
付いた先は人学年上の従弟セリィローズの所だ。
「あら、ごきげんよう。
どうなさったの?朝から・・・フラン様をお迎えしなくていいの?
そろそろ、移転広場に現れる時間でしょう?」
「あぅ、えっと、
セリィローズは、その・・・フラン様のことなんだけど」
セリィローズはきょとんとして、ちょっと照れたように笑う。
あ。
これは、知らないな。
瞬時に理解する。
セリィローズはいつも通りの様子だ。
「え?フラン様が?どうなさったの?
あっ、お体を悪くしたとか・・・」
「えっと。・・・ん。今日は お休みです。
ですので、一応 ご報告をと思って・・・」
そのフラン様がね・・・
ぐっと 伝えたいのを我慢した。
僕はセリィローズがどれほどフラン様に恋焦がれているのか
知っている。
それとともに、「フランチェスコ王子の学園内の従者」としてだが
地位を得ている僕が『極秘情報』を
広めてはいけないということも理解している。
色々な気持ちに蓋をして、
セリィローズを見つめた。
「えぇと だから
今日は覗き見はしないでくださいね。」
「のっ、覗き見だなんてっ。」
顔を赤くしながら、セリィローズは教室へと駆け込んだ。
毎日してるじゃん。覗き見。
思わず、苦笑。
いつもは学園内の移転広場に現れる時間。
僕はその時間に合わせて
広場でフラン様をお迎えする。いつもの日課。
それを教室から しっかりと見つめているのも知ってる。
ちなみに、遠巻きに見てくるご令嬢もすべてチェック済みだ。
自分の教室とは違う方向に歩き始める。
先生がたの控室だ。
なにやら ざわついているなぁ。
「あ、あのっ。
今日は僕、お休みします。後程公爵家のほうから詳細を届けます。」
担任の教官を見つけたので声をかける。
担任は一瞬 驚いたが、すぐに納得した。
「・・・例の件・・・わかるか?」
「一応、報告は届いています。」
「お。あぁ。従者だしな。
今日から教官も何人か『捜索』のために
駆り出されるから、すこし忙しいんだ。」
「えぇっと。僕も、王宮からの・・・指示待ちです。」
「そうか・・・。ま、心配するな。
精鋭どもがすぐに見つけるし。」
僕が静かに頷いたら、担任は魔法印をのせた『外出許可証』を差し出した。
「ほれ、コレ使っていいから、」
ぽん、と渡された移転魔法の組み込まれた魔石を5個。
ありがたい。
手持ちの魔石じゃあ 足りるか心配だったんだよなぁ。
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フランチェスコ第二王子が逃亡。
そんな知らせを
城の使いから聞いたラディゴール=セリア=モントレー公爵子息の
ラディは、ばさり、と持っていた教科書を落として
あわてて拾った。
「え、その。
あの、フラン様が?ほんとに?」
「はい。えぇと、他言無用でお願いします。
まだ事後処理と捜索がありますので私はこれで。」
「わかり、ました。」
「ひとまず、いつも通りで。
あとは、指示を仰いでください。」
学園の寮まで知らせを伝えに来てくれた騎士は
軽く礼をしてそのまま立ち去る。
寮のほうから 声が聞こえて
ラディは はっ。と気を持ち直して
あわてて学園のほうへ駆け出した。
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僕は駆け出した。
うん。学園を走るだなんて
マナー違反だよね。わかってるけど・・・
セリィローズは知ってるのか?
はっ。もしかしたら・・・共犯者?
そんないら立ちと不安を抱えながら、
付いた先は人学年上の従弟セリィローズの所だ。
「あら、ごきげんよう。
どうなさったの?朝から・・・フラン様をお迎えしなくていいの?
そろそろ、移転広場に現れる時間でしょう?」
「あぅ、えっと、
セリィローズは、その・・・フラン様のことなんだけど」
セリィローズはきょとんとして、ちょっと照れたように笑う。
あ。
これは、知らないな。
瞬時に理解する。
セリィローズはいつも通りの様子だ。
「え?フラン様が?どうなさったの?
あっ、お体を悪くしたとか・・・」
「えっと。・・・ん。今日は お休みです。
ですので、一応 ご報告をと思って・・・」
そのフラン様がね・・・
ぐっと 伝えたいのを我慢した。
僕はセリィローズがどれほどフラン様に恋焦がれているのか
知っている。
それとともに、「フランチェスコ王子の学園内の従者」としてだが
地位を得ている僕が『極秘情報』を
広めてはいけないということも理解している。
色々な気持ちに蓋をして、
セリィローズを見つめた。
「えぇと だから
今日は覗き見はしないでくださいね。」
「のっ、覗き見だなんてっ。」
顔を赤くしながら、セリィローズは教室へと駆け込んだ。
毎日してるじゃん。覗き見。
思わず、苦笑。
いつもは学園内の移転広場に現れる時間。
僕はその時間に合わせて
広場でフラン様をお迎えする。いつもの日課。
それを教室から しっかりと見つめているのも知ってる。
ちなみに、遠巻きに見てくるご令嬢もすべてチェック済みだ。
自分の教室とは違う方向に歩き始める。
先生がたの控室だ。
なにやら ざわついているなぁ。
「あ、あのっ。
今日は僕、お休みします。後程公爵家のほうから詳細を届けます。」
担任の教官を見つけたので声をかける。
担任は一瞬 驚いたが、すぐに納得した。
「・・・例の件・・・わかるか?」
「一応、報告は届いています。」
「お。あぁ。従者だしな。
今日から教官も何人か『捜索』のために
駆り出されるから、すこし忙しいんだ。」
「えぇっと。僕も、王宮からの・・・指示待ちです。」
「そうか・・・。ま、心配するな。
精鋭どもがすぐに見つけるし。」
僕が静かに頷いたら、担任は魔法印をのせた『外出許可証』を差し出した。
「ほれ、コレ使っていいから、」
ぽん、と渡された移転魔法の組み込まれた魔石を5個。
ありがたい。
手持ちの魔石じゃあ 足りるか心配だったんだよなぁ。


