キミの顔は雨に強く打ち付けられて
全体的にぬれていたけど
キミの目は潤んで赤く見えた。
僕はキミに雨がかからないように傘をかたむけた。
この雨で傘さしてないどころか持ってないなんておかしいだろ。
『傘は?』
さしたところで関係ないくらい濡れるけど。
『風で飛んでっちゃいました・・・』
キミの声、いつもと違う。
やっぱり泣いてるんだよ・・・ね?
この風で傘とんでくのはわかるけど。。。
でも、だからって、
なぜ、ずぶ濡れでここに居続けるのか・・・
『なんかあったんですか?』
キミはまたうつむいて、なにも答えなかった。
こたえたくない・・・か。
しばらくの沈黙のあと、僕は言った。
『とにかく、ここにいても 雨ひどくなるばっかりだし、駅まで一緒にいきませんか?』
キミはうつむいたまま首を小さく横にふった。
『もう少しここにいます。』
は?
意味わかんないんですけど。
すごい雨だよ?
台風来てるんだよ?
しかも大型だよ?
僕は返す言葉を失った。
キミは、
絞り出すような声で、こう言った。
『濡れちゃうから藤川くんはもう行って下さい・・・
私のことはほっといてください』
あぁ、・・・そうだね。
いつもの僕なら、ここまで言われたら
もう放って置いて先に帰ってたかもしれない。
でも、
こんな激しい雨と風の中、
傘も持ってないキミをひとり残して
この場から立ち去ることが
できるわけないだろう。
