嫉妬。
懐かしい感情が蘇る。
封印したと思っていたのにな。
「どうされましたか」
「吐き気と寒気があるみたいで。熱も少しあると思います」
受付で私の代わりにユウが説明してくれる。
「保険証をお願いします」
「はい」
返事をしたユウが私を見る。
バッグからお財布を取り出して、中にある保険証を取り出す。
やっと病院に着いて良かった…。
ホッとしたことも束の間、
保険証を手に取り、
ユウに渡す直前で、気付いた。
保険証に書かれた私の情報。
"辻崎 理子"
本名が記された保険証を見られてしまえば、
ユウはきっと、私と、
【BLUE GIRL】の登場人物である理子が
同一人物でないかを疑うはずだ。
上手く、誤魔化せるだろうか。
「気持ち悪いのか」
急に黙った私を心配そうに覗き込んだユウと目が合う。
「あ…っ、」
迷った拍子に、
保険証が手から滑り落ちた。
慌ててかがみ、保険証を取ろうとすると
急な目眩が起きる。
「大丈夫か!」
たくましい腕で私を支えつつ、
保険証を拾ったユウを見て、
目の前が真っ暗になった。


