「ちょっと気分が悪くて病院に」


「ひとりで?」


「今、タクシーを手配してもらってて」


「あの美島とかいう、編集社の奴は?」


「…迷惑かけたくない」


はぁ、とユウは深い溜息をついた。



「ちょっと待ってろ。先に行くなよ」


ぼんやりとした頭でユウが走っていく姿を見送る。


ジャージ姿で首にタオルを巻いている彼は、ランニングをしていたようだ。タフだな…。




すぐにタクシーが来て、肩を貸そうかと気遣ってくれたフロントの男性の好意を丁寧に断り、立ち上がる。



やばい、歩くのも辛くなって来た。


それでもどうにかタクシーに乗り込み、行き先を告げようと口を開くと、


「待ってろって言っただろ」


ジャージ姿のユウが乗り込んできた。