布団に倒れこむように目を閉じたが、時間が経つにつれて体調が悪化していくようだ。
気分が悪く、昼間の暑さが嘘のように寒気がする。
もう9時を回っている。
この時間に空いている薬局はあるのだろうか。
マネージャー代わりの美島さんの部屋に行こうかと迷ったが、寝ていたら申し訳ないため旅館のフロントに向かう。
もしかしたら薬があるかもしれない。
「すみません…少し体調が悪くて、今の時間にやっている薬局などありますか?」
「薬局よりも病院に行かれますか?この時間も緊急ならありますよ」
「ここから遠いですか?」
「タクシーで15分くらいです。手配いたしますか?」
「お願いします」
テキパキとフロントの男性がタクシーの手配をしてくれた。
受付横のソファーでタクシーを待つ。
慣れない土地で体調崩すなんて最悪だ。
頭が重い。
「なにやってんだ」
「……」
頭上からの声。
海の誕生日もそうだったけれど、どうしてこの人は困っている私を見つけてしまうのだろう。


