翌朝、早起きをして新幹線に乗った。
通路を挟んだ向かい側にユウが座っている。
何故かユウが通路側で、マネージャーさんが窓際に座っていた。
なんか気持ち悪い…。
乗り物酔いはしないはずなんだけどな。
「羅依ちゃん?体調悪い?」
黙り込んだ私に担当編集者の美島さんが声を掛けてくれた。
「いえ、大丈夫です」
「無理しないでね」
美島さんは京都での撮影に私のマネージャーとして同行してくれることになった。
私のことをよく知っている美島さんが側にいてくれるだけで、気持ちが楽になる。
私のことを羅依ではなく、理子として認識してくれているからだろう。
「昨日、Ryoくん来たんだって」
「突然。それもユウさんに酷いことを言って」
ひそひそと美島さんと話す。
「まぁあの子は誰よりも【BLUE GIRL】を大切にしているからね。中途半端は許せないのだろうね」
「そうですかね」
「僕たちはまだ先に進めてないのかな。映画【BLUE GIRL】がヒットしても、それは変わらない…かもね?」
美島さんは正論を語った。
映画【BLUE GIRL】を撮り終えて、例え、流行ったとしてもーー私も、Ryoの心も、美島さんの心も、晴れやかにはならないだろう。


