BLUE GIRL


いつものように誰よりも早くスタジオを後にしたユウを追いかける。

今日はマネージャーさんも一緒だ。



「ユウさん!良かったら、今日、一緒に買い物行きませんか」


「どういう風の吹き回しだよ」


「だってユウも買いたいものあるんでしょう?」


「…そうだな。行くか」


マネージャーさんの運転する車で1番近いデパートへ向かう。



「何を買うんですか?」


「本。明日からはろくに外へも出れずに待ち時間が長いと思うんだよ。おまえ、オススメの本とかあるの?」


「え、本?最近は漫画しか読まないかも」


「作家なのに?」



しまった、自分の設定を忘れていた。

作家なのに漫画の方が好きっておかしいでしょう。

【BLUE GIRL】を書き上げてから、小説を読むこともなくなった。
明るいフィクションに共感できなくなったせいかもしれない。


「じゃぁ、漫画でも良いわ」


「好きな漫画なら、たくさんあるよ!」


「まさか少女漫画じゃないだろうな。甘ったるいものは無理だぞ」


「甘いものでも読んで、その冷たい性格をどうにかしたら?」


「くだらねぇ」


顔を見合わせて笑う。

ユウとの軽口は温かく、楽しい。