椎名雪乃さんや監督にRyoを紹介して、ユウを探す。
当たり前だけどユウの連絡先も知らない。
探しても見当たらずに撮影現場に戻ると、監督と打ち合わせをしているユウの姿があった。
監督に対して笑顔を見せているユウはRyoに言われたことなど気に留めていないようだ。
まぁ、そうだよね。
「僕、帰るわ」
「……まだ、いたの」
隣りきたRyoがひそひそ声で話しかけてくる。
「怒ってるの」
「怒ってないけど。私、明日から京都で撮影だから」
ユウはRyoの歌で涙を流してくれたというのに。
カメラが止まると、私たちの方にユウが顔を向けた。
「またね、Ryo」
今夜、一緒に買い物に行って欲しいとユウを誘ってみよう。
「椎名雪乃さん、ユウのことベタ褒めだったよ」
「…だから、何?」
「おまえとユウじゃぁ、吊り合わない」
「バカじゃない」
言われなくても、百も承知だけど。


